荒れる大阪場所と言われるけれど、こんなに荒れるのは珍しいというレベル
中日まで横綱、大関が無傷な日はなく、連日下位力士のインタビューばかり
その上、連覇を狙う横綱照ノ富士は3日連続の金星配給で休場に追い込まれた
全勝の尊富士、1敗の大の里という新鋭達が主役の優勝争いになった春場所リポート
8日目までの成績
全勝 尊富士
1敗 大の里
2敗 豊昇龍
貴景勝
琴ノ若
阿炎
御嶽海
佐田の海
湘南乃海
新鋭の初優勝なるか❔
まさか、新入幕の尊富士が単独トップで折り返すとは予想だにしなかった。新入幕での最多連勝は昭和の大横綱大鵬の11だが、中日を終えて新入幕力士が単独トップに立つのは史上初の快挙。
幕尻で相手に恵まれている点もあるが、勢いに乗った若手に怖いものは無し。ただ、9日目から上位との対戦が組まれて苦戦するのは目に見えている。優勝云々よりも上位との対戦の中で、何かを得て将来の肥やしに出来るかが問われる。
むしろ、1敗はしているが怖いのは入幕2場所目の大の里。勝った相撲は圧倒的な破壊力で相手を寄せ付けないような内容。強烈な突き押しが武器だが、回しを取っても勝負出来るのがこの力士の強み。
先場所も好成績で10日目から横綱、大関などの上位戦が組まれて3連敗したが、その後下位力士に3連勝と崩れなかったのは強さの証。更にパワーアップした今場所、先場所の経験を活かして一気に初優勝をしても驚かない力を持つ。
大関陣の巻き返しか❔
4大関と騒がれた中で最も安定感があると思われた霧島がまさかの2勝6敗と勝ち越しに赤信号。似たようなタイプの豊昇龍は2敗で踏ん張っているが危ない相撲も多い上に、圧倒的な迫力に欠ける。
強靭な足腰は魅力だが軽量なだけに、いつも投げにばかり拘っていると思わぬ怪我にも繋がりかねない。立ち合いからの攻めを身に付けないと上の地位には届かない。優勝経験はあるが本命には推しづらい。
大関在位5年で優勝4回と実績最右翼の貴景勝は古傷の首の痛みで立ち合いの破壊力が影を潜め苦しい土俵が続いている。今場所は爆発力はないが相手をよく見て健闘している。まずはカド番脱出が当面の最低目標か。
最も期待したいのは新大関の琴ノ若。大関昇進で土俵外での行事などで稽古不足も懸念されたが、場所前の調整に抜かりはない。序盤戦は硬さも若干見られたが、落ち着いて自分の相撲を取り出してきた。
立ち合いの鋭さがないという声も聞こえるが、守りつつ勝つのが琴ノ若の相撲。一気に攻めていって墓穴を掘るよりは、今の慎重な取り口の方が良い。大関陣には全て負け越してはいるが、12勝ぐらいのレベルなら初の賜杯が見えてくる。
ズバリ、優勝争いは豊昇龍、琴ノ若、大の里の三つ巴か。