
阪神タイガースが9月7日史上最速の優勝を決めた
今年は開幕から安定した成績で5月から首位キープ
2位巨人に17ゲーム差の圧倒的強さで制した藤川阪神のリポ
新監督の采配は
今年から指揮を執る阪神・藤川球児監督。岡田彰布監督も一昨年優勝を飾ったが、昨年はチームの不調もあってかネチネチ言う陰湿なイメージ。それが一転して45歳の兄貴分みたいな監督。選手も色々な意味でやりやすかったのでは……。
ただ、今年の優勝は岡田前監督の遺産がもたらした部分もありそう。クリーンアップを見てると、とにかく打つという意識が強かったように思えるが、四球の多さは特筆もの。セ・リーグ四球のベスト10は殆ど阪神の選手が占めている。
これは昨年まで岡田監督が「ボールは振るな」と口酸っぱく言い続けていたおかげ。もちろん、藤川監督独特の采配もある。開幕当初の4番森下翔太には違和感を覚えたが、佐藤輝明にスパッと変えた。また、長いシーズンを見据えて主力選手を休養させる等の藤川流も随所に見られた。
一時チームの調子が上がらなかった時期もあったが、「責任は自分が取ります」と言ってブレなかった。メジャーや四国ILでプレーしたり、一流の実績を持ちながらも苦労人。型破りな新しい監督像を作り上げてくれそうなルーキー監督から、来年以降も眼が離せない。
投から見る阪神
主力打者の活躍が目立つが、投手力も勝るとも劣らない。防御率2.12と、失点296点はリーグ断トツの少ない数字。特に、防御率に関しては3点を切る事は珍しく、2点台前半はとてつもない数字。12勝5敗の才木浩人、11勝3敗の村上頌樹の同学年コンビが二枚看板。
先発では、更に7勝3敗の大竹耕太郎、6勝3敗のデュプランティエと続く。そして、中継ぎ陣では世界記録となる48試合連続登板無失点記録を達成した石井大智。51登板で防御率0.18は驚異の数字。この他にも中継ぎ陣の多くの投手が防御率0点台から2点台と安定感抜群。
そして、抑えには今シーズン100セーブ100ホールドを達成した充実の守護神・岩崎優。とにかく先発、中継ぎ、抑えと何処にも穴がなく、計算上では3点取れば勝てる。これは打撃陣のみならず、チーム全体に与える影響は計り知れない。
打から見る阪神
チーム打撃成績では、数字的には意外な結果が出ている。投手陣同様に阪神の数字が抜きん出ていると思ったが、打率、安打、本塁打共にリーグ3位。ただ、上記したように四球、更には盗塁、打点がトップ。特に四球と盗塁は断トツの1位。
強力打線というイメージがあっただけに意外な数字。好調な上位打線で決めていたので強打とのチームと思っていた。が、どんな形でも出塁して足でかき回し、チャンスに決定打というそつのない打撃陣というのが読み取れる。
個人では何といっても佐藤輝明の爆発力に尽きる。当初は森下翔太に奪われていた4番の座を掴み取り、36本塁打、89打点の2冠を独走。豪快な一発はそれで試合を決める価千金のケースも多く、正に看板打者に成長した証し。
セ・リーグの歴代優勝チームを紐解いてみると巨人の9連覇以降は巨人、広島の3連覇が最長。
今の阪神の主力選手の年齢などを考えると、それ以上の連覇に期待が持てそう。
ただ、佐藤輝明のメジャー挑戦の可能性や、他のチームの補強なども考えると計算通りに行かない場合もあり得る。
それでも、藤川阪神なら成し遂げてくれそうで眼が離せない。