東京都でまたコロナウイルス感染拡大傾向が顕著になってきた中、東京オリンピック開催の是非を通り越して有観客開催を決めた政府。もう、開会式まで一ヶ月を切った今最もスポーツファンの関心を惹くのが陸上の男子100m代表争い。ひと昔前までは考えられなかった日本人9秒台が4人も参戦するという空前絶後のハイレベルな争い。
100m代表は決められた期間内にオリンピック参加標準記録10秒05を突破する事が条件。これまでに、山縣亮太、サニブラウン、桐生祥秀、小池祐貴、多田修平の5人が記録済み。これらの選手が日本選手権で3着内なら内定。それ以外の選手は今大会で10秒05をクリアし、尚且つ3着以内という厳しい条件になる。
予選
予選は46名の選手が7組に別れて行い、各組3着と残りの4着以下の選手の中からタイム順に3名プラスして24名が準決勝進出。1組は日本記録9秒95保持者の山縣亮太が2着に差を付け楽な走りでゴール。2組には今季好調の多田修平が登場。10秒26で抜け出して快勝。3組は調子が上がらない小池祐貴が、2着に0秒07差でトップでゴール。
5組は今大会で参加標準記録を突破しての逆転での代表を目指すケンブリッジ飛鳥。10秒37で難なく1着で通過。6組には2大会連続2冠ながらアメリカでの実戦機会の少なさが懸念されるサニブラウンが出場。10秒29のまぁまぁのタイムで1着。7組は桐生祥秀が10秒12のダントツの予選最速タイムで2着を寄せ付けない圧巻の走りを披露。
準決勝
準決勝は3組24名の中から各組上位2着プラス、3着以下からタイム上位2名の計8名が決勝進出。
準決勝1組
1着 山縣亮太 10秒16
2着 柳田大輝 10秒22
3着 サニブラウン 10秒30
準決勝2組
1着 多田修平 10秒17
2着 デーデー・ブルーノ 10秒21
準決勝3組
1着 桐生祥秀 10秒28
2着 小池祐貴 10秒30
3着 東田旺洋 10秒35
1組は無風の中、10秒16の準決勝最速のタイムで9秒95の日本記録保持者山縣が快勝。2着には柳田が入り、3大会連続2冠を狙うサニブラウンは辛くもタイム上位で決勝進出。
2組は今季好調の多田が終始安定した走りで1着。2着のデーデー・ブルーノも3着以下を引き離して決勝進出を決めた。
3組は予選で最速タイムを叩き出した桐生が向かい風0.9mの中10秒28で1着。2着には僅差で小池が入り、3着の東田がタイム上位で決勝進出。
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衝撃❗山縣亮太9秒95‼️圧巻の走りで完全復活の日本新記録‼️
決勝
波乱の幕開けを予感させるかのような雨中の決勝戦。スタートで飛び出したのは多田修平。内側から山縣亮太が続く。3週間前の鳥取市の『布施スプリント』での再現のように2人が飛び出していく。しかし、中盤いつもの山縣らしい伸びが見られず前傾姿勢が崩れ、上体が起き上がる。
一方、これまで中盤以降に山縣や桐生祥秀に交わされて涙を呑んできた多田が、序盤の勢いを保ったまま更に引き離して快勝。タイムは10秒15と平凡だが終始リードを保ち危なげないレース運びだった。今季は勝てないまでも、持ち前のスタートダッシュが冴え渡り安定感が増していたが、最も大事な場面でこれまでの努力が実を結んだ。
2着には終盤に際立つ脚で伸びて『9秒台カルテット』に先着したデーデー・ブルーノ。しかし、タイムは参加標準記録には遠い10秒19。そして、そこから離された10秒27から10秒29の僅か0秒02の間に9秒台の4人が雪崩れ込み、その僅差が明暗を分けた。3着山縣は内定し、4着小池も内定確実になったが桐生とサニブラウンが涙を呑んだ。
雨が降ったり風の条件などもあるが、9秒台が4人出場して史上最高レベルの日本選手権と騒がれた割には平凡なタイム。予選で桐生が出した10秒12が最速では世界とは戦えない。どんな条件でも9秒台を出せるようでなければオリンピックの決勝には進めない。代表に選ばれた3人はあと1ヶ月でコンディションを最高の状態に整え、悔いのないようにベストを尽くして欲しい。