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MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)誕生秘話!

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MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)は昨日9月15日、東京オリンピックと同じマラソンコースで、沿道の52万5千人のファンの声援の中、来年の東京オリンピック代表を目指す男子30人、女子10人がそれぞれ2枚の切符を争って熱戦を展開した。

東京オリンピック代表3人の内昨日の時点では男子中村匠吾(27=富士通)、服部勇馬(25=トヨタ自動車)、女子は前田穂南(23=天満屋)、鈴木亜由子(27=日本郵政グループ)が獲得し、男女共に残り一枚を巡って更に激しい代表争いが繰り広げられる事になる。

 

● MGC誕生のいきさつ

何の競技でもそうだが、オリンピック代表を決定する時は多かれ少なかれ揉め事はつきもの。しかし、マラソンは過去に何度か一般市民を巻き込んだ大騒動に発展した事がある。男子で有名なのは1988年ソウルオリンピック代表を決める1987年12月の福岡国際マラソン。

この時の選考過程は曖昧さを残していて、福岡国際をはじめ3大会が選考レースと定められると同時に、『強化指定選手は福岡国際マラソンに参加する事』と、なかば義務付けられていた。故に、事実上福岡国際マラソンが代表選考レースとみなされていた。

ところが、中山竹通と並んで代表確実と言われていた瀬古利彦がレース直前に左足腓骨剥離骨折で欠場を発表。レースは予想通り中山が圧勝。2位に新宅雅也、3位工藤一良。

この上位3人が代表かと思われたが、当時14戦10勝という圧倒的強さの『国民的ランナー』瀬古に配慮した日本陸連は、中山、新宅は内定として、3ヶ月のびわ湖毎日マラソンの瀬古の結果を見てから3人目の代表を選ぶ事に決めた。

その結果、瀬古はびわ湖毎日マラソンで優勝したが、タイムは福岡国際マラソンの3位工藤より遅い記録に終わった。が、陸連は3人目の代表を工藤ではなく瀬古に決定し、工藤に対する同情から瀬古が非難を受ける形になり、何とも後味の悪い代表決定になった。

女子でも似たような腑に落ちない選考過程があった。1992年1月大阪国際女子マラソンが同年のバルセロナオリンピック代表選考レースとして注目を浴びていた。代表3人の内、前年の世界陸上で銀メダルを獲得していた山下佐知子はすでに代表内定。

残り2人は日本記録保持者で世界陸上で山下には及ばなかったが4位入賞の有森裕子、後に世界陸上で日本人初の金メダルを獲得した浅利純子、更に駅伝やトラック競技で活躍し1988年ソウルオリンピック10000メートル代表で今大会が初マラソンとなる松野明美らで争われるとみられていた。

ところが、レースは浅利のペースメーカーか風除けのつもりで出たダイハツの後輩小鴨由水が、いきなり日本最高記録で優勝。36秒遅れの松野がやはりこれまでの最高記録を塗り替えて2位。浅利は失速して圏外という予想外の結果。

代表選考は揉めに揉め、日本最高記録で優勝の小鴨は決定したが、有森と松野のどちらかで侃々諤々。

「私が出たらメダル確実に獲れますので選んで下さい」「やっぱり、強い人は強いと思いますので、強い人を選んで下さい。私は負けませんから」等と、記者会見で訴えた松野だったが、落選。不明瞭な基準での選考に日本中から非難の声が上がった。

● MGCの成果と今後

東京オリンピックを控え、最近のマラソンの低迷に危機感を抱いた日本陸連尾懸貢専務理事は、マラソン強化戦略のリーダーに瀬古利彦を指名。瀬古は3人の委員と共に協議を重ねた結果、『複数の選考レースで選ぶ事が混乱を招く原因』という結果に行き当たり、『一発選考レース』を提案したが尾懸専務理事に認められなかった。

その理由として、「一発選考レースでは選手同士の駆け引きに終始し、一発屋の勝負強い選手が選考されるが、世界に通用するスピードランナーははじかれる可能性がある」というもの。

そして、強化委員が出した回答が『一発屋が選ばれない一発選考レース』

選考レースに出場出来る条件として、指定されたレースで一定水準のタイムを記録した選手だけが出場出来る選考レースとして、『MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)』が創設された。

昨日の沿道のファンの数や、テレビ中継からも分かるように大成功と言っても過言ではない。かといって、今後オリンピック代表選考の度に『MGC』が実施されるかというと、まだ定かではない。『MGC』を目指して多くのランナーがマラソンに挑戦するのは結構だが、それは所属する実業団チームの駅伝等に影響を与える事になるからだ。

しかし、『MGC』のおかげで日本のマラソンのレベルアップが実現し、設楽、大迫が相次いで最高記録を出したのも事実。これを継続していくには、東京オリンピックで代表選手が結果を出す事が絶対条件になるのかもしれない。

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