大阪ヤンマースタジアム長居で行われた第107回日本陸上選手権。今年の世界選手権と来年のパリオリンピック出場への第一歩とも言うべき大会なだけに注目されているだろうと思ったが、大阪で行われたにもかかわらずスタンドはガラガラ。これが今の陸上界の立ち位置かと残念な気持ちでした。
実際、日本新記録も出たけれど総じて低調な大会だったかな、という印象を受けた。来年のパリオリンピックを前に世界で通用するのは男子110m障害、3000m障害ぐらいかもという厳しい現実を突き付けられた感じ。また、不快に思われる人もいるかと思うが、率直に言って安易に国籍変更する選手が多過ぎると感じた。
日本選手権100mの結果
男子100m
1 坂井隆一郎 (大阪ガス) 10秒11
2 柳田大輝 (東洋大) 10秒13
3 小池祐貴 (住友電工) 10秒18
4 水久保漱至 (第一酒造) 10秒20
5 本郷汰樹 (オノテック) 10秒21
6 鈴木涼太 (スズキ) 10秒26
7 灰玉平脩吾 (八戸学院大) 10秒29
8 サニブラウン (東レ) 10秒59
世界陸上選手権の選考状況
今回の日本選手権男子100mはこれまでスプリント界をリードしてきた日本記録保持者山縣亮太、日本最初の9秒台をマークした桐生祥秀などの実績組が不参加。その中でサニブラウンをはじめとする若手の奮起に期待したが、優勝した坂井隆一郎のタイムが向かい風0.2mの中で10秒11。世界選手権の参加標準記録10秒00には遠い低レベルに終わり、誰一人として代表内定を得られていない状況。
本番は来年のパリオリンピックだが、その前に今年の大一番は8月の世界陸上ブダペスト大会。男子100m参加内定を得るには昨年の7月31日から今年の7月30日までの間に10秒00以内で、尚且つ日本陸上選手権で3着以内という厳しい条件。昨年の世界陸上オレゴン大会で決勝進出したサニブラウンも現時点では内定していない。サニブラウンと日本選手権3着以内の選手は今後ワールドランキング対象大会で標準記録を突破するか、基準ワールドランキングを上げて参加資格を得るしかない状況。
パリオリンピックの展望は
男子100m歴代10傑
1 9秒95 山縣亮太
2 9秒97 サニブラウン
3 9秒98 桐生祥秀
〝 〝〝〝〝 小池祐貴
5 10秒00 伊東浩司
6 10秒01 多田修平
7 10秒02 朝原宣治
〝 〝〝〝〝〝 坂井隆一郎
9 10秒03 末續慎吾
〝 〝〝〝〝〝 ケンブリッジ飛鳥
パリオリンピックへの出場も世界選手権同様に厳しくなっている。100mの出場枠は56。参加標準記録は世界陸上と同じ10秒00。2023年7日1日から2024年6月30日までの間に10秒00の参加基準記録達成者から28人。残りの28人はランキング期間内の世界ランキングによって選ばれる。尚、日本のお家芸とも言える400mリレーは2024世界リレーのトップ14と、2022年12月31日から2024年6月30日までの世界陸連のリレー成績表をもとに選出される事になる。
さて、100m10秒0を破る9秒台は2017年桐生祥秀を手始めにサニブラウン、小池祐貴、そして、2021年6月衝撃の9秒95をマークした山縣亮太まで、次々と達成した感があるが、現役では参加基準記録10秒00の達成者もこの4人だけ。これらの4選手も自身のコンディションや気象条件などが噛み合わない限り、そう簡単には達成出来ない。7月からの一年間で山縣、サニブラウン、桐生、小池の4選手が再びマークするのか、それとも新星が現れるのか注目していきたい。
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