2000年に『ON対決』と騒がれ巨人とダイエー(ソフトバンクの前身)が長嶋茂雄監督と王貞治監督が対決して以来、じつに19年ぶりの対戦で盛り上がった巨人とソフトバンクの日本シリーズ。
しかし、ソフトバンクの圧倒的強さの前に為す術知らずストレート負けを喫した巨人。4戦を通じて投攻守走、選手層の厚さと全てにおいて比較にならない程の差があった。
戦前、私もエース同士の対決になる第1戦で巨人が山口俊で負けたら巻き返しは難しいだろうと書いたが、まさかストレート負けを喫するとは思っていなかった。
今回のレポートは日本シリーズを振り返ると共に、もはや覆しようのないほど開いてしまったセ•リーグとパ•リーグの実力差について述べる。
● 日本シリーズの回顧
2019日本シリーズ
第1戦 ソフトバンク7━2巨人
第2戦 ソフトバンク6━3巨人
第3戦 巨人2━6ソフトバンク
第4戦 巨人3━4ソフトバンク
第1戦こそ引退表明している阿部慎之助の2回表の先制ホームランで湧いたが、その裏グラシアルの2ランホームランでひっくり返されると、既にソフトバンクのエース千賀滉大を前に抵抗する力も無い。
6回、7回と追加点を取られ一方的なゲーム。9回表に大城卓三のソロホームランで1点返すのがやっとの完敗。
唯一計算出来るエース山口俊で落とした時点で私は巨人に勝ち目は無いと感じていたが、続く第2戦も2年目の先発アンダースローの高橋礼に完璧に抑え込まれ7回までにわずか1安打。
対する巨人の先発メルセデスも6回1安打と好投したが、球数76球で代えた原監督の疑問の采配で救援投手が次々に打ち込まれ、最も乗せてはいけない『熱男』松田宣浩の3ランホームランを皮切りに、主砲•柳田悠岐、更に福田秀平にまでホームランを浴びて万事休す。
ホームの東京ドームに帰って雪辱を期す第3戦。巨人はベテラン亀井のまさかの2打席連続のホームランで意地を見せるが、得点はその2点だけ。
立ち直った先発のバンデンハーク、石川柊太、甲斐野央、モイネロ、そして抑えの森唯斗の前に反撃の芽を摘まれる。
王手をかけられた巨人はクライマックスシリーズに登板が無く、1ヶ月以上登板が空いた菅野智之に全てを託す。久しぶりの試合の割りには粘投を続ける菅野も、『今シリーズの主役』グラシアルのシリーズ3本目となる先制の3ランホームランで先制を許す。
その後も菅野は7回まで踏ん張り、打線も丸佳浩の適時二塁打、岡本和真のホームランで粘るがミスで致命的な1点を許して終戦。
結局、『両リーグの盟主対決』『久しぶりのゴールデン対決』と騒がれた巨人━ソフトバンク戦は、選手層の厚さも含めた明らかな戦力差で、ソフトバンクの強さだけが際立つシリーズになった。
● セ•リーグとパ•リーグの実力差
私は個人的には短期決戦の日本シリーズだけで実力差は認めない主義。しかし、今回の巨人━ソフトバンクの戦いを観ると冒頭でも述べたように投攻守走全てソフトバンクが上。そして、これは巨人、ソフトバンクに限らずセ•リーグとパ•リーグの差と言っても過言ではない。
昔から『人気のセ実力のパ』と言われてきたが、現在の交流戦は無く両リーグが相まみえる機会は『オールスター』『日本シリーズ』だけ。日本シリーズは巨人の9連覇等もあり五分の印象があるが、オールスターは昔ペナントレースのテレビ放映が少なかったパ•リーグの選手がハッスルし、圧倒していたのでパ•リーグの実力が上と言われていたようだ。
しかし、現在は確実にパ•リーグが上と断言できる。交流戦の優勝チームの回数や、両リーグ所属チームの対戦成績でパ•リーグが圧倒している。更に、2013年の楽天から7年連続で日本シリーズはパ•リーグが制している。
優勝回数は今回で35勝35敗と並んだが、2000年終了時点ではセ•リーグが30勝21敗とリードしていたが、この19年でパ•リーグが14勝5敗と圧倒。その上、今シリーズの4連勝で日本シリーズの総試合数の勝敗もパ•リーグが205勝202敗8分けと勝ち越した。
今や、『実力のパ』は印象でなく数値で証明されたと言っても過言ではないだろう。セ•リーグの奮起を促したい。
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