3月25日開幕した2022年プロ野球。阪神矢野監督の引退宣言や新庄ビッグボスなど、監督が脚光を浴びてスタートした感がある今シーズン。しかし、皮肉にもその2人の率いる阪神、日本ハムが開幕から苦戦している。日本ハムの場合は昨年の成績や戦力の他に、新監督の手腕の未知数な部分などからある程度の苦戦は予想されていた。
しかし、阪神は昨年最後まで優勝を争った経緯や充実したキャンプ、オープン戦の手応えから優勝候補の最右翼に推す評論家も多かっただけに、ファンの失望も大きい。まだ、9試合終わっただけだが、ライバルの一つとみられた巨人が8勝1敗という好スタートを切っただけにこの差は大きい。何故、原因は、これからの逆襲は……阪神の現状を探ってみたい。
投手陣の誤算
まず、今回の9連敗の誤算の始まりは3月25日の開幕ヤクルト戦の8回、9回のリリーフ陣の不調。この試合、阪神は今シーズンの優勝を目指し絶好の出だしをみせた。初回に1点先制されると、2回裏から連続3イニングス連続の糸井のタイムリーや本塁打などで8ー1と大勢を決したかにみえた。先発の藤浪は7回3失点でマウンドを降りたが、8回から登板の斎藤、岩崎、そして9回抑えのケラーで7失点の逆転負け。
結果論と言われるかもしれないが、5点リードとはいえ藤浪が6、7回に1点ずつ取られて追い上げられている場面で、なぜ経験豊富な岩崎でなく斎藤から送り出したのか。相手が右打者の続くクリーンアップとはいえ、通算ホールド1の斎藤に開幕戦の大事な場面を任せたのか。そして今年初めてマウンドに上がるケラーに、追い詰められての1点差という最悪の流れで託す結果になり、逆転負けを喫してしまう。
更に、翌日から小川、桐敷という実績のない投手を開幕シリーズに投入した矢野監督の不可解な起用法が傷口を広げで開幕3連敗。それ以降も西や秋山などの実績のある投手が好投するも、打線の援護が無かったりと歯車が噛み合わない。投手ローテーションの2順目となった巨人戦も藤浪、小川に出遅れたガンケルの3投手とも全て5回もたずにKO。開幕から昨年の優勝チームのヤクルトと、3カード目の阪神戦に照準を合わせるなら、藤浪の後になぜ実績のある投手を起用しなかったのか、疑問符がつく矢野監督の采配。
打撃陣の課題
打撃陣に関しては効率的か否かは別として状態は悪くはない。現在上位を打つ近本、中野、糸井、佐藤輝、大山まで全て2割後半から3割以上を残している。特に、3番を打つ40歳のベテラン糸井は勝負強い打撃でチームトップの打点と本塁打をマークして気を吐いている。誤算は開幕当初3番を任されていたマルテの不調。昨年22発71打点の主軸が、7試合で僅か4安打打点ゼロでは打線の繋がりに欠けるのは明白で、4月3日登録抹消。
セ・リーグのチーム別打撃成績では、チームの順位を反映して巨人、広島が打率、安打数、打点とトップを争っているが、阪神は打率、安打数で3位。ただ、得点が5位、打点が5位タイと低迷しているのが繋がりを欠いて連敗している原因。ただ、数字そのものは決して悪くはないので、今の近本、中野の1、2番コンビに糸井、佐藤輝、大山のクリーンアップをいじらないで勝利を待つ事が肝心。
逆襲の鍵は❔
まだ、開幕して3カード目とはいえ、8勝1敗と絶好調のライバル巨人から早くも8ゲーム差。優勝に赤信号とは言わないが、苦しい状況になったのは間違いない。これから2回目の登板の西、秋山の内容如何にもよるが、実績のあるこの2人に藤浪を加えた3人はローテーションの柱として替えないで欲しい。また、1試合失敗しただけの抑えのケラーに登板機会を与える事と、昨年13勝の青柳を待つしかない。
打撃陣は今の調子を保ちながら繋がりを意識して、更に調子を上げて行くしかないが、今求められているのは佐藤輝と大山の勝負を決める一発。この2人が期待されているのは相手にダメージを与え、味方を鼓舞する特大のアーチ。そして、今年いっぱいで退任を表明している矢野監督は気持ちを切らさない事。4月5日から始まる本拠地甲子園での『開幕戦』で、悪い流れを断ち切る快勝こそが、猛虎逆襲の開始となる。頑張れ阪神タイガース。
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