3月29日開幕した2019プロ野球ペナントレース。まだ3連戦を終えたばかりだが各球団の主力選手がピッチングにバッティングに活躍を見せている。
その中で異色の勝負強さでチームの勝利に貢献しているのが、日本ハムの4番打者•中田翔。
開幕シリーズのオリックス戦3試合で14打数3安打。打率は.214と自慢にならない数字だが、2本塁打、9打点と正に4番の数字を残している。
開幕戦は三振、遊飛、左飛、二飛と全く振るわず3ー3で延長戦に突入。10回裏に9番中島卓也が無死から二塁打放つと、1番浅間大基がすかさずバントで送って一死三塁。
ここでオリックス陣営は2番西川遥輝、3番近藤健介を連続敬遠で歩かせて満塁策を取る。
1点もやれない場面だから策としては考えられなくもないが、わざわざ満塁にして4番打者と勝負するのはオリックスとしても冒険だったはず。
そして、中田としてはそれまでの打席の内容が悪いとしても軽く見られたと思われても仕方ない場面。
ここで悔しさを叩き付けた中田のバットは見事に左翼席に放り込むサヨナラ満塁ホームラン。
四番打者の意地を見せ付けた一発で日本ハムに開幕戦勝利をもたらした。
4ー4の引き分けに終わった第2戦も、2試合連続のホームランと9回裏2点のビハインドで値千金の同点になる2点タイムリーを放って全打点を挙げる。
第3戦もヒットこそ無かったものの1打点を挙げて、3ー1の勝利に貢献。
開幕シリーズ2勝1分けというチーム好発進の原動力になった。
そもそも、中田はもともと一発屋のイメージがあり一軍登録されたプロ入り2年目からの10年で通算打率は.254。本塁打は202本、打点が749と打率よりも本塁打や打点でチームに貢献するタイプ。
4番打者にもソフトバンクの柳田悠岐や広島の鈴木誠也みたいに三冠王を狙えそうな打率、本塁打、打点の三部門の全てで数字を残せるタイプと、中田みたいに長打力にかけるタイプの二種類がある。
もちろん、チームにとって頼りになるのは三部門全てで期待が持てる安定感のある4番だが、中田は規定打席に到達したプロ入り三年目からの8シーズンで打率三割をクリアしたのは2013年の.305の一度だけ。
しかし、それが中田の魅力にもなっているのも否めない。意外性があると言っては4番打者に失礼かもしれないが今年の開幕シリーズのように、いざという時に力を発揮出来るのが中田らしさなのだろう。
最近5年間で一昨年を除く4年で100打点以上をマークし、二度の打点王に輝いているのはその証しだろう。
ファンとしても、今更当てにいく中田なんて見たくもないだろう。ブンブン振り回して三振しても構わないから、ここぞという時に勝負を決める一発を放つ、それが中田翔という男の魅力であり存在感なのだろう。