アメリカで行われているフィギュアスケート四大陸選手権で、前日のSP5位で出遅れた紀平梨花(16)が得意のフリーで153・14の最高得点をマークして逆転優勝を果たしました。
これで今シーズンは7戦6勝。その内SPで首位に立ったのは3回で、後の4回は5位、2位、5位、5位からの逆転優勝です。
フリーは今回も含めて7戦全て1位になっています。たとえSPで出遅れても、その2倍近い得点で争うフリーで逆転出来るという自信に満ち溢れているような気がします。
紀平は5歳でフィギュアスケートを始めましたが、当初はお稽古事の一つに過ぎず、他にバレエ、体操、ピアノ等も習っていました。
その後フィギュアスケートに専念しますが、注目されたのは2シーズン前、ジュニアグランプリシリーズ(JGP)で史上7人目となるトリプルアクセルを決めてからです。
ジュニア2年目の昨2017ー18年シーズンはトリプルアクセルで転倒が多く、なかなか優勝が出来ませんでした。
それでも、全日本ジュニアグランプリではショート6位からフリーで2度のトリプルアクセルを成功させて逆転優勝しています。
これが今年の飛躍につながっているのかもしれません。
シニアデビューとなった今シーズンは昨年9月のオンドレイ・ネペラ杯のSPでトリプルアクセルで転倒しましたが、SP、フリー共にトップでシニア初優勝を決めました。
続く11月の西日本選手権でもSP、フリートップで優勝。
しかし、グランプリシリーズ(GP)初戦のNHK杯ではSP冒頭のトリプルアクセルで失敗して5位と出遅れましたが、フリーで2度のトリプルアクセルを決めて逆転優勝。
GPフランス杯でも2位からの逆転優勝。
そして、12月のGPファイナルではSPで完璧な演技でトップに立つと、フリーでトリプルアクセルを失敗しましたがその後のトリプルアクセルや他のジャンプを綺麗に決めて、浅田真央以来13年振りの日本人シニアデビュー年でのグランプリファイナル制覇を成し遂げました。
続く全日本選手権ではSPでトリプルアクセルで転倒し、その後のジャンプでもミスがあって5位になりましたが、フリーでは2本のトリプルアクセルを成功させてトップの得点を挙げましたが、SP、フリー共に2位と安定した滑りを見せた坂本花織に及ばず、今シーズン初めて2位に甘んじてしまいました。
そして迎えた今年最初の4大陸選手権。大会2日前に行われた公式練習で転倒して左手薬指亜脱臼に見舞われ、テープで固定して出場しましたがSP冒頭のトリプルアクセルに失敗して5位となってしまいました。
そして、今日のフリー。冒頭のトリプルアクセルを見事に成功させると、その後のジャンプやコンビネーションをそつなく決めて逆転優勝しました。
浅田真央と同様に大技のトリプルアクセルが武器だけに失敗の不安はありますが、たとえSPで失敗してもフリーで巻き返す力があり、本人も自信満々で焦らない精神的な強さもあります。
これで3月の世界選手権を勝てば実績的には浅田を超えるといっても過言ではありませんが、女子の16歳という年齢は昨年の平昌五輪金メダリストのザキトワのように、体型的な変化や精神面の不安定もあって、一年経つと別人のように低迷する場合もあります。
紀平には3年後のオリンピックを目指して、トリプルアクセルだけに留まらず、既にロシア選手が成功させている4回転ジャンプにもチャレンジしてトップレベルを維持してもらいたい。