クリスマスを10日後に控えた週末に衝撃が走った。平昌オリンピック金メダリストのアリーナ•ザギトワ引退のニュースが世界中に駆け巡った。
ザギトワといえば、2018年2月の平昌オリンピックでOAR(国家を代表しないロシアからのオリンピック選手)として、15歳で初出場。団体戦で銀メダル、個人戦では見事に金メダルを獲得し、その愛くるしい顔立ちと相まって一躍世界的スターに上り詰めた選手。
更に、今年3月にさいたまスーパーアリーナで行われた『2019年世界フィギュアスケート選手権』でも優勝して、名実共に世界ナンバーワンを証明したばかり。まだ、17歳のザギトワに何が起こったのか。
●ザギトワのこれまで
2002年5月18日にロシア•イジェフスクに生まれたザギトワ。父親はアイスホッケーのコーチ、妹もフィギュアスケートをやっているというウィンタースポーツ一家。
5歳からスケートを始め、本格的にフィギュアスケートを始めたのは7歳から。2015年、名コーチとして名高いエテリ•トゥトベリーゼの元でトレーニングを開始し、親元を離れてモスクワの祖母と同居。一度見限られたが再び指導を受ける。
その才能が開花したのは2016~2017年シーズン。ジュニアグランプリの第1戦目サン•ジェルヴェ大会で国際大会デビューを優勝で飾る。2戦目は紀平梨花、本田真凜に続く3位に終わったが『ジュニアグランプリファイナル』の出場権を獲得。
『ジュニアグランプリ』では、SP(ショートプログラム)とFS(フリースケーティング)でジュニアクラスの世界最高得点の207.43点を出して、ジュニア選手史上初の200点超えで優勝。
更に、『世界ジュニア選手権』でも、自身がマークしたFSと総合得点のジュニア歴代最高得点を更新して、前年のチャンピオン本田真凜を破って優勝し、ジュニア世代の事実上のナンバーワンを証明した。
そして、更に飛躍の時を迎えた2017~2018年シーズンでシニアデビュー。グランプリシリーズに参戦して中国杯、フランス杯共にSPで転倒して出遅れながらFSで逆転優勝し、グランプリファイナルに出場するとあっさり優勝までさらってしまう。
その余勢をかった平昌オリンピックでは絶対女王と言われた同じロシアの先輩、エフドニア・メドベージェワとの激闘を制して金メダルを獲得。シニア一年目でシンデレラガールから女王にかけ上がった。
● フィギュアスケート界の現状
2018~2019年シーズンは前半こそ苦戦したが、世界選手権でライバル紀平梨花を抑えて初優勝。『オリンピック』『世界選手権』『グランプリファイナル』『欧州選手権』『世界ジュニア選手権』『ジュニアグランプリファイナル』と、16歳10ヶ月にして全ての主要国際大会を制したザギトワ。
しかし、2019~2020年シーズンは前半から思わぬ苦戦を強いられた。『GPフランス国際』『GPNHK杯』と、それぞれ2位、3位と敗れて女王としての復権を誓った『グランプリファイナル』ではまさかの最下位に沈んでしまった。
同じロシアの後輩、16歳のアリョーナ•コストルナヤが3回転半、15歳のアンナ•シェルバコワ、アレクサンドラ•トルソワが4回転という高難度のジャンプを身に付けて台頭して上位を独占。今や、男子同様に『4回転時代』に突入してしまった。
「私は五輪や世界選手権で勝った。人生における全てのものを手にした」と発言して、『競技活動休止』を宣言したザギトワはモチベーションの低下による『引退宣言』と受け取られて世界中に衝撃を与えた。
しかし、今日12月15日ザギトワ自身がインスタグラムで「私は活動休止も引退もするつもりはありません」と引退を否定し、「私は常に表彰台の一番上に立ちたい。そのためにはさらにハードなトレーニングをする必要がある」と、一時大会からは離れても再び新たな気持ちでスケートに取り組む姿勢を示した。
真相はまだはっきりしないが、あの美しき女王ザギトワが再び表彰台の真ん中に上がるのを期待して待ちたい。
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