● 両チーム一歩も引けぬ優勝争い
トルコ最大の都市イスタンブールにはこの国で最も人気が高く、実績も抜けているビッグスリーといわれるサッカークラブがある。最多のリーグ優勝回数を誇るフェネルバフチェ、長友佑都が所属するガラタサライ、そして香川真司が電撃移籍したベシクタシュの3チームだ。
現在、フェネルバフは14位と低迷しているが、ガラタサライとベシクタシュは初優勝を狙う同じイスタンブールのバシャクシェヒルに、それぞれ勝ち点3、4と迫り逆転優勝を狙っている。
つい一ヶ月前まではバシャクシェヒルが両チームに勝ち点10以上の独走態勢を築いていたが、初優勝を意識した新興クラブがもたついている間にガラタサライとベシクタシュは無敗の快進撃を続け、首位に手が届くところまで追い詰めた。
その、ライバル同士のガラタサライとベシクタシュが5月5日(日本時間6日1時)に、ガラタサライの本拠地トゥルク•テレコム•スタジアムで激突する。ただでさえ地元のファンにとっては目が離せない試合だが、長友と香川という日本代表の2人の初対決にも注目が集まる。2018年1月にガラタサライに所属した長友は、加入すると同時にレフトバックの定位置をつかんで昨年のチームのリーグ優勝に貢献した。
一方の香川は、ブンデスリーガ•ドルトムントや、イングランド•プレミアリーグの名門マンチェスター•ユナイテッドFCで活躍したスター選手として、熱狂的歓迎を受けて今季途中から加入し、でいきなり3分間で2ゴールと衝撃のデビューを果たした。
● 両雄の初対決はあるのか?
今季負傷でリーグ戦の半分以上を欠場している長友だが、昨年からの活躍で高い評価を得てレギュラーの座は確立している。怪我から復帰した4月20日のカイセリスポル戦では復活のゴールを決めてファンの喝采を浴びていた。32歳になりベテランの域になりつつある長友のコンディションには、やや不安が残るがスターティングメンバーに名を連ねるのは確実。
問題は香川。デビュー戦の鮮やかな2ゴールを始め、ここまで3得点2アシストを記録している香川にはベシクタシュのサポーターはもちろん、ライバルクラブのファンからも称賛の声が上がっている。香川の俊敏な動き、卓越したボールタッチ。的確なパスのサムライアタッカーには「なぜ、ベシクタシュに先を越されたんだ」「香川ほどのクオリティーの高い選手がいればこんな低迷するシーズンにならなかった」等と、ライバルクラブのガラタサライやフェネルバフチェのサポーターから嘆きの声が上がっている。
それなのに、なぜかベシクタシュを率いるシェノル•ギュネシュ監督の香川に対する信頼は厚いとは言えないようだ。あの衝撃のデビュー戦の直後でも香川の守備への貢献に不満なようで、同じポジションを主戦場とするリャイッチとの共存を守備面の観点で疑問視していて、チームで実績を積んでいるセルビア代表のリャイッチの起用が優先して、香川はほとんど途中出場に限られているのが現状だ。
● 別れた明暗
結果は2ー0で長友のガラタサライが快勝した。「今日は1対1でもそうだし、守備のところで集中出来た。一回もやられるシーンはなかったと思う」と、自信たっぷりに振り返る。
更に試合後の自身のツイッターを更新。「この舞台で日本人同士で戦えるのは刺激的だった。もっと長い時間真司と戦いたかったが、ガラタサライが勝つためには真司にプレーして欲しくなかった。一番クオリティーがあり怖い選手だから。15分だけで正直助かった」と、本音を語っていた。
「リャイッチと共にボールを受けながら、出来たらいいと思ってたんですけど、ちょっと時間が少な過ぎた」「なかなか味わえない雰囲気だし、本当に最高の舞台でやれるんだなと思いながら試合を見ていたので、もう少し時間が欲しかったなと思います」香川は与えられた時間の少なさについて繰り返し言及していた。
個人的にはなぜトルコに来てまでこんな不遇に近い扱いを受けるのか、不信と不満があるが今季だけの選手だからという説もある。しかし、私がトルコ移籍以来の香川を見て感じるのはベシクタシュの選手との力の差だ。香川はこの試合でもそうだが良いパスを出しても受けた選手はただやみくもにゴールを目指すだけで、ここで香川にボールを戻せば決定的チャンスになる、という場面でもパスが返って来ることは無かった。
広い視野の的確な試合勘や図抜けたスピードの香川の力量では、トルコリーグではレベルが違って生かされないのだろう。来季はいろいろな強豪チームからの引き合いがあるようなので、香川には自身に合ったレベルで更に向上出来るチームへの移籍が望ましい。
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