● 令和初の天皇賜杯は誰の手に?
本命無き優勝争いと言われた大相撲夏場所も12日目を終え、残り3日間に賜杯の行方がかかる。12日目で10勝2敗は横綱鶴竜と平幕の朝乃山の2人。星一つで大関復帰を目指す栃ノ心。更に8勝4敗で大関豪栄道、平幕の玉鷲、阿炎、正代、明生、琴恵光という混戦模様。
はっきり言って、11勝4敗の優勝など見たくないという声も聞こえるが、鶴竜は残り3日間に両大関と栃ノ心か、朝乃山との対戦が予想される。普通なら12勝くらいは行けそうな気もするが、序盤こそ鋭い立ち合いから一気の攻めが見られていたが、後半になって悪癖の引きが出て来たので予断は許さない。
同じ2敗で並ぶ朝乃山は13日目の栃ノ心を始め上位力士との対戦が組まれそうなので、簡単に賜杯に届きそうにないが、これまで通り無欲で取れれば勢いのある若手だけにひょっとしたら初優勝の可能性もなくはない。
大関復帰を狙う栃ノ心。中盤までは大関に上がった頃の力強さが見られて、復帰どころか優勝も狙えるのではと思っていたが、ここ2日間阿炎、明生という番付下位の力士に全く良いところなく連敗。気持ちを切り替えられるかが大関と賜杯獲りの鍵を握る。
● 総崩れの大関陣
三大関は全くの期待外れに終わった。新大関貴景勝は序盤早々土が付いた上に4日目の御嶽海戦で痛めた右膝の故障で翌5日目から休場。更に、8日目再出場するも碧山にあっさり敗れて再休場という失態。大関の自覚を持って、怪我は完治してから万全の態勢で出場しなければならない。今後の相撲に悪影響を及ぼさないか心配。
高安は序盤から不安定な相撲で大関らしさが見られず、中盤ようやく白星が続いたと思ったら11日、12日目にあっさり連敗。相撲に迷いがあるのか大関に上がった頃の迫力ある立ち合いが影を潜め、力強さに欠けている。このままでは万年大関で終わりかねない。もう一度鍛え直して来場所に掛けて欲しい。
いつものように場所前好調さが伝えられた豪栄道。勝つ時は目を見張る強さと巧さを見せるが、相変わらず取りこぼしが多くて序盤で優勝争いから脱落。ただ、何とか4敗で残っているので鶴竜が後一つ星を落とすようなら、千秋楽の直接対決で逆転する可能性も無きにしもあらず。そのためには最後の3日間一つも落とせない。
● 令和期待の若手力士は?
今場所好成績を挙げている若手力士は番付下位の力士が多く、それが番付上位になって通用するか否かは分からない。ただ、25歳以下を若手とするなら前述した朝乃山は相撲っぷりも良く来場所以降も楽しみ。
横綱大関と顔が合いながら8勝4敗と、12日目に高安を敗って勝ち越しを決めた阿炎。確かに動きは良いのだが、それが仇となってバタバタする相撲が目立つ。長い手足を生かしてもっと突き押しの威力を付けなければ、三役は務まらない。
初日からの3連敗から巻き返して、12日目優勝を争う栃ノ心を圧倒した23歳の明生。中学卒業してすぐに角界入りした分、大勝ちは少なく目立った活躍は無かったが着実に力を付けてきた。昨年名古屋場所で新入幕を果たしたが一場所で陥落。しかし、すぐ再入幕して今場所も含めて幕内で4場所連続勝ち越し。左四つ•寄りのスピードと腰の重さで一気に駆け上がれるか。
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