パリオリンピックと被る日程になった大相撲名古屋場所
後半戦そこまで興味が保たれる優勝争いになるかが注目
しかし、先場所の悪夢を再現するようなまさかの大関陣全滅
最後まで賜杯の行方は渾沌となりそうな名古屋場所のリポート
道を切り開けるか大の里
今場所最大の焦点は新関脇大の里。幕下十枚目格付出でデビュー後、わずか7場所目での幕内優勝。十両昇進以降全て11勝以上と進化を続けてきた。今場所の成績次第では一気に大関昇進の可能性も取り沙汰されている角界の星。
192センチ181キロの体格を活かした突き押しの破壊力で圧倒してきた。しかし、決まり手で約半分だった押し出しだけでなく、右を差して前に出る相撲も身に付けつつある。四つ相撲も取れるようになれば、正に鬼に金棒。
初日はその右差しを元大関御嶽海に封じられて完敗。しかし、将来を考えれば右四つの習得は必須条件。目先の星だけに拘らず先を見据えた鍛練こそ糧になるはず。大物の今場所を注視したい。
再起なるか横綱照ノ富士
2場所連続休場で膝や腰の痛みで場所前の稽古もままならない中で出場に踏み切った横綱照ノ富士。この一年は優勝した今年の初場所以外は全休2回、途中休場3回と綱の責任を果たしているとは言えない状況。
3場所連続の途中休場ともなれば進退問題に発展する可能性もある。もう一場所休場して来場所に懸ける選択肢もあった中の強行ともいえる出場。横綱本人は今場所に進退を縣けての出場だった可能性も考えられる。
その注目の初日は3大関が目の前で敗れるという先場所と同じような展開。相手は小柄ながら前に出る圧力がある新小結平戸海。手こずったが最後は左上手を引いての寄り切り。面目を保ったが、バタついた内容で今後に不安を感じさせた。
混戦必至の優勝争い
優勝争いの中心になると思われた力士が相次いで敗れた名古屋場所。初日敗れはしたが本命は大関琴桜。脚長で腰が高い印象はあるが、一気に押される事はない。流れの中で勝機を見出す今の相撲を続けていれば優勝が見えてくる。
やはり初日敗れたが対抗大の里。立ち合いから遮二無二出ていく必要はなく、押しても組んでも取れる安定感が売り。照ノ富士は相手を捕まえれば勝機十分。が、押し相撲や変化のある相手は要注意。疲れが出てくる終盤戦が鍵になる。
初日の土俵から復活の兆しが窺える、大関復帰を目指す霧島にも注目。序盤で勢いを付けたいところ。迫力は欠けるが、大崩れのない大関豊昇龍にも混戦になればチャンス。あとは番付を下げて大勝ちの狙える元大関朝乃山までが優勝候補。