休場者が相次ぐ大相撲夏場所。横綱照ノ富士、大関霧島、貴景勝の看板力士の他に三役力士2名など幕内計7人
異常事態ともいえる多さで取組編成にも影響は避けられない状況
力士の大型化が原因とも言われるが、時代に合った対応が必要
高い土俵からの転落も原因の一つ。柔道のように平板な場所での戦いでも良いのでは……
またまた混戦模様になった大相撲夏場所の主役は誰か。優勝を狙う力士達のリポート
1敗
大の里
宝富士
2敗
琴櫻
大栄翔
宇良
御嶽海
湘南乃海
新時代の到来か1敗大の里
『平成の怪物』とか『令和の怪物』とか、すぐに騒ぎたがるマスコミだが、大の里こそ紛れもない怪物ではないだろうか。アマチュア相撲の主要大会を総なめにし、鳴り物入りで元横綱稀勢の里の二所ノ関部屋に入門。
幕下10枚目格付出でデビューしたが、幕下、十両共に2場所での通過と意外に手間取り、優勝経験は無し。しかし、大相撲の水に慣れると共に力を発揮。真っ向からの突き、押しを武器に新入幕から連続11勝で今場所西小結に昇進。
その圧倒的な破壊力だけでなく、右四つの相撲でも進境著しく、同じ四つの大関琴櫻を圧倒した相撲振りは正に怪物の真骨頂。落ち着きもあり、攻め込まれても状況に応じて対応出来る力もあり、この後の対戦相手も考えて優勝の本命か。
祖父との夢を追う2敗琴櫻
新大関の春場所はまずまずの10勝5敗で終えた琴ノ若改め琴櫻。祖父で【猛牛】と言われた元横綱の名を今場所から襲名。偉大な祖父と父の影響で始めた相撲だが、そのプレッシャーに苦しんだ時期を乗り越えての大関昇進。
琴櫻の良さは相手をよく見て受け止め、状況に応じて攻守を使い分ける柔軟性。攻めの姿勢に欠けるという評もあるが、この柔軟さこそが琴櫻の長所。大型化した現代の大相撲で、一昔前の大横綱の如く悠然と取れるのは琴櫻だけの強み。
少し体調に不安があったようで、初日の大栄翔に土を付けられ、大の里にも一方的な敗戦。しかし、安定感は幕内随一。1敗の大の里を追って更に調子を上げ、屈辱的な敗戦の相手に追い付き、初の賜杯を抱いて偉大な祖父に続けるか。
虎視眈々と狙う伏兵力士は
横綱不在の今、伏兵と言っては失礼になる大関豊昇龍。大関昇進5場所目になるが取りこぼしが多過ぎて2度目の賜杯に届かない。既に3敗と苦しいが、琴櫻、大の里の2強との対戦を残しているだけに、白星を連ねて逆転を狙いたい。
怖いのは優勝経験がある実力者大栄翔。昨年は大関獲りのチャンスを生かせず、6場所守った関脇から今場所陥落して前頭筆頭。ただ、今場所は久し振りに突き押しの威力が復活。三役力士との対戦を終え、波に乗れば再び賜杯のチャンス。
持ち前の粘り腰に加えて、前に出る圧力で6連勝と一時単独トップに立った宇良は大の里戦を残して再浮上を狙う。久し振りに前傾姿勢で力強い押しが復活した元大関御嶽海。今後、上位との対戦で優勝3回の経験で存在感を示せるか。
194センチ190キロの恵まれた体を活かして2敗の湘南乃海。今後上位戦との対戦で将来への糧となる経験を積めるか。十両から復帰のベテラン宝富士。久し振りに力強い取り口で実力者としてその経験値で上位を苦しめられるか注目。
余りにも休場者が多く番付上位との対戦が少ない今場所。残りの対戦相手を考えても前回のリポートで書いたように、琴櫻と大の里の争いか。割って入るとしても大栄翔までか。