中日を終えた大相撲夏場所は4場所連続休場で不安視されていた横綱照ノ富士が全勝で単独トップ。カド番の大関貴景勝も6勝2敗で勝ち越しへの道筋が見えてくる等、上位陣が徐々に力を発揮している感じ。一方、期待された4関脇は揃って6勝2敗とこちらもこれからの番付上位戦の結果次第では待望の新大関誕生や、来場所以降の大関昇進に望みをつなぐ結果を得られる展開になってきた。今場所の優勝争いと大関昇進争いについて考えてみる。
中日までの成績
全勝
照ノ富士
1敗
明生 朝乃山
2敗
貴景勝 霧馬山 豊昇龍 大栄翔
若元春 平戸海 北青鵬 妙義龍
優勝争いは❔
横綱照ノ富士が本領発揮し始めている。ただ、序盤戦はぎこちない動きだったが対戦相手が左右への動きを遠慮しているようにも見えた。もちろん勝負の世界だから過度の遠慮はご法度だから、遠慮というより様子見のようにも見えた。その内に最高の良薬白星が積み重なって本来の照ノ富士に近付きつつある状況。ただ、終盤に掛けての膝への影響が心配な上に、残っている対戦相手は上位陣。一年振りの優勝は五分五分とみた。
番付上位陣よりも期待したいのは朝乃山。昨日は北青鵬に逆転されたが、大関時代よりも積極的な攻めの姿勢が見られるのは強み。今後、星を伸ばして上位陣との対戦が組まれるだろうが、久し振りの上位の当たりに戸惑わなければ優勝の可能性は十分ある。三番手には乗った時には照ノ富士でも手を焼く大栄翔。押し相撲特有の好不調の波はあるが、回しを取られても対処出来るようになったのは好材料。照ノ富士戦には強いので土を着けて一気に浮上か。
一番期待していた霧馬山は優勝というよりも大関昇進の掛かった場所への硬さからか、消極的な相撲が何番か見られた。気持ちを切り替える事が出来た時には随一の安定感から優勝争いに残れる可能性があるが、相手云々よりも自分の精神面が鍵になる。あと一人は大関よりも安定感から若元春を挙げたい。序盤は力強い攻めの相撲が見られたが、この2、3日その姿勢が弱まり、守りに入っている気がする。失う物はないのだから自分の相撲を貫けられるかが鍵。
大関争いは❔
今場所大関昇進の可能性が最も高かった霧馬山。このところの充実振りからは2桁は当確と思われたが、立ち合いの変化に頼ったり、前に出る意識が薄れたような消極的な相撲が多く見受けられる。6勝2敗は十分に2桁は可能だが、精神面で若干不安有り。今場所11勝以上で昇進の可能性がある大栄翔。相変わらず立ち合いから外連味のない突き押しが今場所も見られている。その上、組まれても対処出来るようになったのは心強い。照ノ富士を倒して波に乗れれば大願成就の可能性が高まる。
2つの不戦勝があって6勝2敗の豊昇龍。叔父で元横綱朝青龍譲りの強靭な足腰、負けん気の強さは健在だが朝青龍の域にはまだまだ遠い。立ち合いの変化もある上に、土俵際でのしぶとさで星を拾うのも大事だが、圧力を掛けて前に出る相撲を増やさない限り大関は近付かない。先場所、小結で11勝の若元春。正攻法の四つ相撲でしぶとい足腰で最近めったに見られないうっちゃりでも勝てるのは魅力だが、豊昇龍同様に前に出ての勝ち相撲が足りない。強い押っつけの相撲を増やすのが課題になる。
番付は下だが、スケールの大きな相撲が魅力の北青鵬。2メートルを超える身長に185キロという恵まれた体。まだ相撲は荒削りだが右四つの形になれば自信持っている。あの大きな体を利用して突っ張り等で前に出る相撲が出来れば将来の横綱候補になれる可能性もある大物。2年振りの幕内の土俵に上がった元大関朝乃山。元々の右四つ相撲に前に出る圧力が加わりパワーアップ。まだ29歳で再び大関、横綱を目指す資格は十分。三役以上の力士との対戦に慣れてくれば一気に番付を駆け上がれるはず。
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