横綱照ノ富士の4場所振りの出場、大関霧島の綱獲り、関脇琴ノ若の大関昇進なるか……と話題が多かった大相撲初場所
最近は平幕力士が入り乱れる低レベルの優勝争いが続いていたが、今場所は久し振りに役力士が競り合う優勝争い
最後は照ノ富士が綱の威厳を示して賜杯を手にしたが、注目力士が最後まで奮起して見応えのあった初場所のリポート
復活❗優勝は照ノ富士
横綱には失礼だが優勝争いどころか15日間取り切れるか心配されていた照ノ富士。膝に加え腰の怪我で満足な稽古は出来ずに臨んだ今場所。序盤は動きもぎこちなく、何とか捕まえて勝っている状態。
前半戦は宇良、阿炎、翔猿などのくせ者揃いで変化やスピーディーな動きへの対応が懸念された。しかし、それらの力士は退けたが、若元春、正代に苦杯。今の上半身の力だけでは上位相手には通用しないのではと懸念された。
しかし、番数をこなしている内に相撲勘が徐々に戻り、相手の腕を手繰って動きを封じ込める取り組みが増える。更に上半身のパワーも増して中日以降8連勝。最後は経験値がものを言って優勝を勝ち取り、健在振りを示した。
大関昇進決定❗琴ノ若
今場所、最も安定感のある取り口で初優勝のチャンス到来と思われた関脇琴ノ若。大型化した最近の大相撲では立ち合いから圧力を掛けての攻めが優先される中、今場所はどっしり構えて相手をよく見ながらの相撲が多かった。
これに対して、積極的に前に出るべきという声も聞かれた。しかし、189センチ、177キロという恵まれた体。無理に前に出て墓穴を掘るよりも、安定性を優先して相手の力を受けてじっくり見ながら攻める相撲に磨きを掛けるべき。
来場所からは待望の大関。照ノ富士以降の大関は横綱昇進が出来ない状況が続いている。資質や取り口からみても大関陣の中で最も横綱にふさわしい琴ノ若。元横綱で祖父の琴桜の名を継いで、令和初の横綱昇進を目指して欲しい。
規格外の大器❗大の里
十両の取り組みを見て、その破壊力は認識していたが、それがそのまま幕内の土俵で通用するのかと注目していた新入幕の大の里。しかし、それは杞憂に過ぎなかった。
土俵経験十分の幕内力士に真っ向から向かって一気に土俵外に押し出すその破壊力。恵まれた体からの攻撃相撲は圧倒的なポテンシャルで、幕内下位の相撲ではなかった。
新星が現れる度に、怪物と命名して喧伝する傾向があるが、最近の若手の中では規格外。正に【令和の怪物】として、今後の角界を担っていく逸材。怪我、故障に気を付けて、年内の三役はもちろん、将来の横綱候補として大成して欲しい。
その他の注目力士達❗
横綱昇進を目指した大関霧島は優勝争いには絡んだが11勝止まり。場所前は好調が伝えられたが、攻め切る相撲は見られず、さばきの上手さで星を伸ばした印象。稽古熱心には定評があるが、さらに磨いて再挑戦して欲しい。
綱取りの大関を問題にしない強さを稽古で見せていた小結高安。初日こそ白星発進で期待を抱かせたものの、腰痛がぶり返して3日目から休場。再出場したが再びリタイア。近年故障が多く悲願の優勝は遠のくばかりだが復活を期待したい。
人気随一の元大関朝乃山。前頭8枚目では力の差は歴然で、ただ一人無傷の7連勝。しかし、怪我で離脱。再出場で勝ち越し、来場所は前頭上位。まずは怪我を完治させて、大関復帰の足掛かりとして欲しい。