パリオリンピックもほぼ半分の日程を過ぎ、夏の暑さに負けない熱気に包まれている
金メダル20個を目標に掲げた日本は、柔道やスケートボード等の活躍で目標達成ペース
もちろん金メダリストには敬意を表するが、近年は勝ち負けだけに拘らず楽しむ人が急増
今回のリポートは、メダリストにはなれなかったが、印象に残った2人にスポットライト
寸前でメダルを逃した白井空良
目の前で東京オリンピック金メダリスト堀米雄斗の高得点で暫定4位に落ちた白井空良。ベストトリックは最後の5回目しか残されていない。最後に再逆転を狙った渾身の一本は、成功したかに見えたが惜しくも着地で失敗。
この瞬間、東京に続いてパリでもメダル獲得の夢が潰えた。一瞬、悔しそうな表情が過ったが、すぐ笑みを浮かべながら戻っていく白井。喜怒哀楽を表す競技が多い中、スケートボードは仲間内意識が強く、相手を讃える光景が目につく。
相手の好プレイに自分の事のように拍手を送る姿が見受けられる。それは見ていて清々しいが、内心はどうなんだろうか……と、いつも思ってしまう。2021年世界選手権銅メダル、2023年世界選手権金メダルの誰もが認める白井。
しかし、東京オリンピックは予選9位で敗退、そして今回4位。持っている、いないでは言い表せないような堀米とは対照的な残酷な結末。しかし、22歳は女子と違ってまだまだ若手の部類。4年後のロサンゼルスでの活躍に期待したい。
猛追の果てに逆転負け平野美宇
スケートボードの仲間内の和気あいあいムードとは違って、1点1点取る度に派手なガッツポーズや、吠え声を上げる卓球。今大会の女子シングルスで、随一の好ゲームと語り草になっているのが、準々決勝敗退の平野美宇のゲーム。
相手は第4シード韓国のシン・ユビン。世界ランキングは8位で13位の平野より上だが、中国勢と渡り合ってきた平野にとって勝てない相手ではない。序盤はエッジやネットイン等の不運も重なってシン・ユビンが3セット連取。
しかし、そこから目が醒めたような平野の逆襲が始まる。4ゲーム目から緩急をつけたショットからのフォアハンド攻撃で11ー7。第5ゲームは11ー8、そして6ゲーム目も連取してゲームカウント3ー3と並んでしまう。
乗ったら中国勢でも手がつけられなくなる平野。悪い意味ではムラだが、この勢いこそが平野の真骨頂。ここまできたらもう平野の勝利は間違いなしと思ったはず。しかし、最終7ゲームも一進一退の目が離せない展開が続く。
9ー9から取って先にマッチポイントを握ったのは平野。しかし、シン・ユビンも負けてはいない。2度のピンチを跳ね返して11ー11。固唾を飲んで見守る大観衆の中、13ー11で勝利の女神が微笑んだのはシン・ユビンの方。
0ー3から盛り返した平野も立派だが、一度離れた流れを再度引き寄せたシン・ユビンも敵ながら天晴れ。「最初で最後のシングルスに……」と語った平野。しかし、まだ24歳。中国勢に最も警戒される平野には再び頂点を目指して欲しい。