池江璃花子、白血病から２年余奇跡の復活で東京オリンピック代表❗

白血病からの完全復活を目指している競泳の池江璃花子（２０）が、東京オリンピック代表の選考会を兼ねた競泳の【日本選手権大会】女子１００mバタフライを制して、４００mメドレーリレーの代表に決定。２０１９年２月に白血病を公表以来初めての全国レベルでの優勝を果たした。

レースを終えて順位とタイムを確認すると、感極まった表情でガッツポーズを繰り出し、その後はスタート台にぶら下がったまま、背中を震わせてむせび泣いた。「勝てるのはずっと先だと思っていた。辛くてもしんどくても、努力は必ず報われるんだと思った」と語った池江の、これまでの半生を振り返ってみた。

生まれながらの天才少女

池江璃花子が生まれたのは２０００年７月４日。東京都江戸川区西小岩。以前は工場や倉庫などが散見されたが今は大半が住宅地で、マンションや大規模店舗が立ち並んでいる。蔵前橋通りを経て千葉県へ抜ける手前の東京都の外れ。

「赤ちゃんにとって一番良い方法を考えて」という母親が、助産師を自宅に呼んで風呂場で体温に一番近い湯の中で分娩する【水中出産】で誕生。「一度泣いた後、気持ち良さそうにお湯に浸かっていた」というから、正に水の申し子。

その水の申し子は３歳からスイミングスクールに通い、５歳時には自由形、平泳ぎ、バタフライ、背泳ぎの全てを５０m泳げるようになった。小学３年から全国レベルの大会に出場して、中学入学直前に初めての全国優勝。中学では【日本選手権】を制して世界選手権の代表入り。

高校に入るとその天才ぶりを加速させ、一年になったばかりの２０１６年４月リオオリンピック代表を兼ねた【日本選手権】に挑む。個人４種目の代表内定、更にその後の活躍で史上初の７種目での代表が決定。しかし、１００mバタフライで６位入賞は果たしたが世界の壁の厚さを痛感。

目標を４年後の東京オリンピックとしてリスタートした池江は帰国後も【インターハイ】【国体】【アジア水泳選手権】などで八面六臂の活躍をみせ、高校一年の終了時には短水路も含めて９種目の日本記録保持者になった。

高校二年になっても勢いは衰えず、２０１７年４月の【日本選手権】では５０m、１００m、２００m自由形、５０m、１００mバタフライとエントリーした５種目全てで優勝。８月の【世界ジュニア選手権】でも５０m自由形、５０m、１００mバタフライを制して大会ＭＶＰに選出された。

三年になり、東京オリンピックに向けて更なるレベルアップを図ってコーチを代えて臨んだ【２０１８年ジャカルタアジア競技大会】。５０m、１００m自由形、５０m、１００mバタフライ、４００m自由形リレー、４００mメドレーリレーの６種目で優勝。日本人初のアジア競技大会６冠達成。

リオオリンピックから更なる成長を遂げて、２０２０年東京オリンピックでは今度こそ世界の壁を打ち破っての活躍が期待されていた２０１９年。オーストラリア合宿を体調不良で途中帰国。２月１２日自身のツイッターで白血病を公表。それ以降の公式競技への出場を取り止めて療養生活に入った。

その後、４月８日日本大学スポーツ科学部に進学し、水泳部に入部したが闘病生活が続けられた。１２月１７日に退院。東京オリンピックは断念して２０２４年パリオリンピックを目標にする事を明らかにした。２０２０年８月２９日、【東京都特別水泳大会】で５４９日ぶりの競技会復帰。

２０２１年に入って本格的に競技復帰を果たした池江。しかし、まだ世界はおろか日本でもトップレベルとは言い難い中で迎えた今回の【日本選手権】。「勝つのはまだ先……」と本人さえ思っていながら勝ってしまった池江。『水の申し子はオリンピックの申し子』も兼ね備えていたのかもしれない。