最初耳にした時は嘘だろう、とフェイクニュースを疑った。
右腕を引っ張られたくらいで屈強なプロの選手が故障するなんてヤワすぎる……、とも思った。
しかし、スポーツニュース等で観る松坂大輔の人気は絶大で、球場の出入り時に群がるようなファンを見てさもありなんと納得した。
松坂はグリーンカード(米国永住権)更新の為にキャンプ地の沖縄・北谷を2月4日午後出発して、東京経由で翌5日に日本を離れた。
米国西海岸でたったの1泊、24時間以内の滞在でグリーンカード更新を終えてすぐに飛行機に飛び乗って8日の昼過ぎには北谷に帰ってきた。
今季ローテーション入りを目指す松坂は時差ぼけをものともしないで、室内でダッシュやキャッチボールに取り組んでいた。
球団は11日の発表で数日前と言うだけで故障発生の日時は明らかにしていないが、当然グリーンカード更新後なのは間違いない。
強行日程での出入国までして開幕を目指していた松坂に何ていう仕打ちだろう。
何度も故障に泣いた松坂は右腕や右肩を何より大事にしていて、自分の肩より上に手を上げる歯磨きや洗髪の時も細心の注意を払っていると聞く。
それ程、松坂にとって右腕や右肩はかけがえのないものであり、プロの選手にとって商売道具ともいえる身体は資本であり命といっても言い過ぎではない。
ファンあってのプロ野球なのは分かるが、プロは試合に出てなんぼである。ファンの為に人気選手が一時間以上もサインしたり、長時間のイベントに出たりする必要があるのだろうか。
球団も選手の球場への出入り等には神経を使っていて、ガードマンや球団職員を配置しているが選手を守るといってもファンに対しては遠慮がちになるだろうし、邪険に扱う訳にもいくまい。
現時点ではファンのマナーと良識に委ねる他ないのが実状かもしれないが、一部のファンの非常識な行為で選手が傷付いては本当のファンはやり切れない思いだろう。
しかも、今回松坂と接触したのは転売ヤーと言われる人気選手のグッズやサイン色紙等を集めてネットで転売する人とも言われている。
こんな人達と一緒に扱われてはファンも迷惑この上ない事だろう。
ここは松坂だけの問題としないで各球団も人気選手を抱えているのだから、ファンサービスの在り方を考えて選手ファーストの姿勢で対策に当たって頂きたい。
12日沖縄県内の病院で検査を受けた結果、右肩に炎症が有りしばらくはノースローの調整になるという。
更に、今日13日はキャンプ休日だが、明14日の練習予定に松坂の名前は無く、球団代表が松坂と話し合ってキャンプ離脱も視野に入れていると聞く。
ある評論家は今の時点でノースロー調整では開幕は無理だろうと言う。
故障に泣いてどん底から這い上がって昨年6勝して、今年こそはローテーション投手として二桁勝利も期待されていただけに松坂の胸中は察するに余り有るが、たとえ開幕に間に合わなくともプロ野球ファンは誰しもまた不死鳥の如く蘇る松坂大輔を待っている。