天候に恵まれて極めて順調に終わった第106回全国高校野球大会
猛暑の中でクーリングタイムや10回からのタイブレーク制などの導入
一昔前までは考えられなかった案に賛否両論の声が聞かれる
今大会を振り返りつつ、今後の高校野球の有り方について考えてみた
準々決勝
東海大相模1―2関東第一⭕
⭕青森山田 1―0滋賀学園
⭕京都国際 4―0智弁学園
大社 2―8神村学園⭕
準決勝
⭕関東第一2―1神村学園
青森山田2―3京都国際⭕
決勝
関東第一1―2京都国際⭕
今大会を振り返って
上記のように互いに初制覇を目指した決勝戦は京都国際が延長10回タイブレークの末、関東第一を2―1で下して優勝。9回まで互いに得点を許さない白熱した戦いで、正に手に汗握る熱戦で観客や、テレビの前のファンを魅了。
今大会は総じて1点を争う接戦が多く、緊張感の漂う好ゲームが続出。全48試合中、約4割弱の19試合が1点差という熱戦が続いた。1点を取る為に走攻守あらゆる局面で、選手、ベンチが叡智を尽くして戦う場面が随所で見られた。
原因は今年春から導入された、低反発の金属バットによる事に間違いはない。今大会のホームラン数は金属バットが導入された1974年以降、最少の僅か7本。6年前の夏、2017年大会の68本が最多だが予想以上の激減となった。
だが、これはファンには大歓迎。力のない選手でもうまく当たればホームランという場面が減り、大味な試合から1点をめぐる緻密な野球。バント、スクイズ、エンドラン等、これぞ高校野球というスリル満点の試合を楽しませて頂いた。
暑さ対策は万全か❔
猛暑といわれる最近の夏。一般の人達もエアコンの使用、こまめな水分補給、不要不急な外出禁止などで熱中症対策をとっている。しかし、今大会のクーリングタイムやタイブレークには賛否両論がある。
猛暑の中での行き過ぎた練習は別だが、常日頃から高い気温の中での運動に慣れる事も必要なはず。普段から頻繁に水分を摂ったり、練習を中断して休憩ばかりしていたのでは暑さ慣れしなくなる。
野球で一番負担が多いのは投手と捕手。しかし、今大会では内野手、外野手の足のつりが多発。もちろん、暑さから選手を守るのは必要だが、過保護は選手の精神的、肉体的成長を妨げる。
安易にクーリングタイムやタイブレーク等を用いるより、まずは日頃の練習時から鍛える事が肝心。それでなお熱中症防止に不安なら、夏休み中の開催を変更すべき。真夏の日中に長期間の大会を開催する事こそが一番の矛盾と解するべき。
今後の高校野球は❔
今、高校野球は曲がり角にきていると思う。一昔前までは運動に自信のある子供達は真っ先に野球に慣れ親しんでいた。しかし、最近はスポーツも多様化の時代を迎え、幼少の頃から様々なスポーツの入口が開けている。
その上、人口減少で子供達の数も減っている。また、野球そのものも世界では一部の地域の競技に過ぎない。オリンピックでも開催されないケースの方が多い。少なくとも、W杯で世界中で盛り上がるサッカーには敵わない状況。
実際、高校野球予選に参加する高校は減る一方。いつまでも、野球だ甲子園だと大騒ぎする時代でもないはず。真夏のスタンドに大応援団を配し、予算はOBや地域住民からの寄付で賄うという、野球だけの特別視は時代錯誤。
本場アメリカでも日本のような高校野球での馬鹿騒ぎは行われていない。日本でも甲子園などは止めて、インターハイの中でやるべきではないのか。主催者や放送局の企みに乗せられて、いつまで踊らされていれば気が済むのだろうか……。