
荒れる春場所と言われる3月の大阪場所が始まった
その名の通り、新横綱豊青龍、大関琴桜、両関脇に土
今場所の注目力士と、またまた混戦になりそうな優勝争いのリポート
新横綱豊青龍
最近の豊青龍にしては珍しい一方的な相撲で土俵外に運ばれた新横綱のスタート。元々、軽量を突かれて押し相撲に一気に持っていかれる事はしばしば目にしてきた。しかし立ち合いの鋭さでカバーして横綱昇進を決めたはず。
だが、初日の完敗ぶりを見る限り、やはり大相撲の世界で軽量は大きなハンディと改めて認識させられた。初日は新横綱としての固さもあったと思うが、最高位に上り詰めた限りは言い訳にならない。
先場所の記事でも述べたが、低いレベルでの横綱昇進に反対意見も多かったと聞く。今秋の海外巡業の目玉として横綱を作りたいという協会の思惑での昇進だとしたら、角界にとっても豊青龍にとってもマイナスにしかならない。
もちろん、まだ一日取っただけで評価は出来ないが、2日目は対戦成績でこれまで負け越している難敵若隆景。この実力者に対してどう立ち向かうか。連敗は許されないだけに、早くも正念場を迎えたといっても過言ではない、新横綱の土俵に注目したい。
カド番の琴桜
心配なのは豊青龍だけでなく、ライバルとして横綱昇進を争った大関琴桜も同様。先場所は横綱昇進の本命と目されていたが、序盤から崩れてまさかの5勝10敗。綱争いのプレッシャーに負けた精神力の弱さが原因と思われている。
場所前は積極的に出稽古に出て番数を積んできたが、こちらも豊青龍同様の黒星スタート。横綱のような一方的敗戦ではないが、関脇から平幕に転落した若元春を相手に逆四つの左四つに組まれ、前に出るが攻め切れない。
そして、簡単に右上手を許して寄られると残す腰もなく寄り切られてしまう。差し手争いに負けたのは仕方ないとして、相手に圧力かける工夫もなく淡々とした印象。先場所の大敗で自信を無くしているのかもしれない。
何度も言うが、攻めが遅いという外野の意見に惑わされない方がいい。がっしり受け止め、そこから勝機を見出して攻めに転じるのが琴桜の相撲。豊青龍以上にこちらが心配だが、迷った時こそ原点に帰るべき。じっくり見て攻める相撲で立ち直って欲しい。
優勝争い展望
春場所に限らず混戦が当たり前になった感の大相撲。結局、上位で白星を挙げたのは大関大の里と、元大関霧島、豊昇龍に勝った阿炎の両小結だけ。先場所11勝で大関への足掛かりを築きたい大栄翔と、12勝3敗で優勝決定戦に進んだ王鵬も黒星スタート。
初日早々、混戦模様に陥った感の春場所。優勝争いは正に混沌とした状況だが、本命には大関3場所目の大の里を挙げたい。実力は折り紙付きだが、ようやく大関の地位にも慣れて本領発揮とみたい。稽古不足を指摘されていたが、場所前は精力的な稽古で万全。
2日目以降立ち直れるか注目される豊青龍が二番手。地位は人を変えると言われるが、先場所後半の連勝での優勝と横綱昇進は自信になったはず。三番手には不振の琴桜を推したいが、初日の相撲ではまだ立ち直れていない感じ。殻を破れるかが鍵になる。
荒れる春場所の波乱を呼ぶ筆頭は大関陥落から5場所目を迎えた霧島。先場所は3連敗スタートから盛り返して11勝と実力を見せ付け、大関再昇進に虎視眈々。波乱の要因となるのが上位陣と顔を合わせない平幕下位力士の活躍。尊富士、熱海富士辺りに注目。