
新横綱誕生か、大の里?
これまで数々の記録を塗り替えてきた大関大の里。幕下10枚目格付出でデビュー。幕下、十両では意外に苦戦。しかし、入幕後は怒濤の進撃を見せ、綱取りを目指す今場所で、まだ13場所目。
史上最速の横綱昇進なるかが話題になっているが、それに劣らず凄いのは負け越し無し。これまで、年6場所制になった1958年以降で全場所勝ち越しでの横綱昇進なら初めての快挙。
場所前は体調不良で稽古不足が心配され、横綱審議委員会による稽古総見では、横綱朝昇龍に1勝8敗の完敗。しかし、その後は出稽古で調整に励み本場所を迎えた。初日の相手は難敵の若元春。難なく寄り切って好スタート。
体格を生かして前に出るという、自分のスタイルを貫き通す事が出来れば結果は自ずから付いてくる。大関昇進時の口上の、【唯一無二の力士】を目指して、大の里の最強横綱への道が千秋楽に開けるはず。
巻き返すか豊昇龍、琴桜
大の里一色になりそうな夏場所にストップを掛けなければならないのが横綱豊昇龍。決して全ての人に認められて昇進した訳ではないだけに、その力を見せ付けたかった先場所。序盤から苦しんだ上に途中休場。
今場所は簡単に大の里に優勝を許す訳にはいかない。稽古総見では強さを見せ付けて存在感を示した。初日は対戦成績五分の小結若隆景を一気に押し出す快勝。勢いのある大の里より先の黒星は避けたいところ。一騎討ちに持ち込めれば勝機はある。
番付上位の中で最も危機感を持つのは大関琴桜。二場所前には横綱昇進争いのトップを走っていたのに、まさかの失速。綱取りの初場所は2年半ぶりの負け越し。先場所、何とか8勝で大関陥落を阻止。
特徴である、どっしりとした感じが消え失せたのは深刻。周囲の意見に惑わされず、受けて勝つという自分のスタイルで復活して欲しい。仮に、大の里が昇進した場合は2人の年下横綱に並ぶのは至難の業。今年が勝負の年と認識して勝負に出て欲しい。
出現するのか?大関候補
一時期3人いた大関が場合によっては1人になる可能性がある。そこで注目されるのが次の大関候補。番付上は関脇大栄翔、霧島になるが、2人とも続けて2桁勝利が残せない状況。
小結も、先場所優勝争いを演じた高安は持病の腰痛に悩まされている。故障で陥落して幕下から復帰した若隆景も幕内上位では2桁勝利が続いていない。更に、4人共にアラサーか、それ以上のベテラン。
平幕勢に目を向けても、すぐに大関候補と言える存在はいない。その中で期待したいのは、突き押しの威力と、粘りが出てきた王鵬。新関脇から陥落したが、ここは一場所で三役復帰して、大関候補に名乗りを挙げて欲しい。
更には、怪我で一時の勢いはなくなったが再び番付を挙げてきた尊富士、伯桜鵬の伊勢ヶ浜勢。阿武剋、金峰山、安青錦といった外国人力士。その他にも楽しみな力士はいるが、誰がのし上がってくるか注目したい。