
大相撲秋場所は久しぶりの横綱主導の優勝争い
決定戦までもつれ込み、優勝決定戦という展開
久しぶりに大相撲本来の姿が蘇った秋場所リポ
大器覚醒で横綱初V・大の里
横綱昇進2場所目の大の里。先場所は横綱としての重圧で思い通りの相撲が取れなかったと述懐。今場所は序盤戦から本来の圧倒的破壊力で前に出る相撲を取り切った感がある。もちろん、15日間全て自分の相撲を取り切る事は不可能。
ただ、それでも先場所のような攻め切れない場合での叩きがなくなり、辛抱して前に出る相撲を貫いた。土俵際で後ろを向かされたり、崩されたりしても反応出来る動きの良さも見られた。心技体に充実していた場所のように見受けられた。
今年5場所終わった時点で優勝3回、休場無し、全て2桁勝利と抜きん出た活躍。来場所を待たずに年間最多勝も決める等、誰もが認める第一人者になったといえよう。今場所の相撲を更に磨いて、初めての全勝優勝を成し遂げ、そして本人の言う『唯一無二』の高みを目指して欲しい。
惜しくもV逸も健闘・豊昇龍
序盤からほぼ万全の相撲で11連勝。特に変わったという取り口ではないが、立ち合いの鋭さ、スピード、そして気迫のこもる内容で優勝争いの先頭に立って場所を盛り上げた豊昇龍。このまま突っ走るのではと思わせた程の快進撃。
しかし、12日目の新鋭安青錦戦は、攻め切れず粘る相手に切り返されて土が着いた。翌13日目は体力で優る大関琴桜に寄り切られて連敗。1敗を守った大の里に逆転されて追い掛ける立場に。千秋楽は本割りで大の里を一蹴したが、優勝決定戦で寄り倒しに敗れて横綱初Vで大の里に先を越された。
横綱になって途中休場2回、優勝無しと責任を全うしていない豊昇龍。今場所は一定の責任は果たした。が、14日の若隆景戦をはじめ2回の立ち合い変化が物議を醸している。相撲で変化は禁じられてはいない。しかし、相手を受け止める自信がないなら横綱と言えるのだろうか……。
次の大関を狙う悲喜交々リポ
三役で12勝、10勝と連続して2桁勝利の関脇若隆景。今場所11勝で大関昇進の目安となる33勝に到達する。しかし、いつもの若隆景らしい力強い押っつけや、土俵際の粘りが見られず6勝止まり。場所前の食あたりによる稽古不足が原因のよう。30歳過ぎで最挑戦は厳しいか……。
代わって大関候補に急浮上してきたのが若干21歳の新小結安青錦。今場所も含めて入幕以来全て11勝という、大の里に勝るとも劣らない快進撃。どんな相手にも低い体勢を維持して粘り反撃という相撲内容。ただ、一気に押し上げられると弱い面もあり、鋭い出足を身に付ければ鬼に金棒か。
序盤は三役以上との取組が続いて2勝4敗も、大関琴桜戦から快進撃で10勝をあげた前頭2枚目王鵬。持ち前の威力ある突き押しが武器だが、最近は組まれても粘って白星に結び付けられるようになってきた。離れても組んでも取れるようになった時には、祖父大鵬に続く可能性もある。
もう一人大関候補になる可能性を秘めるのが平幕中位で12勝3敗で敢闘賞受賞の隆の勝。押し相撲で強烈なのど輪を武器に両横綱に次ぐ成績。これまでも大勝して優勝争いに度々加わる実力者。ただ、押し相撲特有の波があり、連続して2桁勝利はない。番付を上げる来場所が正念場か。