陸上短距離100メートルの山縣亮太が今週末いよいよ始動する。
昨年は自己タイ記録の10秒00を始め、10秒0台を3回マークする等、安定感抜群で日本人には無敗と圧倒的強さみを見せた。
日本記録こそ桐生祥秀の9秒98に後れを取っているが、それは気象条件等にもよるもので、同じスタートラインに立って昨年は3強と言われる桐生にもケンブリッジ飛鳥にも一度も負けなかった事実が最強の証しであろう。
ただ、日本人にとって悲願だった、夢の9秒台で桐生に先を越された事は第一人者としてのプライドが許さない。が、山縣の視線は既に9秒台を通り越して9秒8台に向けられている。
山縣の目標は世界選手権と東京オリンピックの100メートル決勝に残る事だが、その為には9秒9台の前半か9秒8台を出さなければ叶えられない程、世界のレベルは高い。
その為には、とりあえず9秒台を叩き出しておく必要があるが、惜しかったのは昨年のジャカルタ•アジア大会。
決勝に残った山縣はアジア人最速の蘇炳添(中国)と同走のチャンスを得る。
しかし、スタートで飛び出したものの中盤から終盤に掛けての蘇の圧倒的スピードに交わされ、その後も付いていけず、更にはゴール寸前でT.オグノデ(カタール)にも抜かれる3位。
記録も10秒00に終わる。
金メダルの蘇が9秒92の大会新記録だっただけに、もう少し食い下がっていれば自身初の9秒台だっただけに悔やまれる。
しかし山縣は、「9秒9台の前半のタイムを実感出来た事は良かった」と、前を向く。
その山縣は2月下旬からアメリカフロリダ州にある選手養成施設、IMGアカデミーで練習に励んでいて、スタートの精度高める事に主眼を置いている。
「昨年もスタートが悪かった訳ではないが、まだまだ改良の余地がある」と踏んでいる。
その山縣が3月22日(日本時間23日)、アメリカフロリダ州の大会に今季初戦として挑む。
今年の最大目標は世界選手権でベストタイムを出して決勝に進む事だが、4月にアジア選手権があるのである程度の完成度で初戦を迎えたいと、話している。
そして、アジア選手権の後は5月19日に大阪•ヤンマースタジアム長居で開催されるセイコーゴールデングランプリ陸上で、山縣、桐生、ケンブリッジ、の他に多田修平、小池祐貴がぶつかり合う予定。
来年の東京オリンピックに向けて今年は正に勝負の一年。
山縣、桐生、ケンブリッジに加えて200メートルが得意のサニブラウン・ハキームと小池、スタートに定評のある多田。
男子100メートルは3強だけでなく四天王、あるいは5人、6人の混戦模様になって更なるレベルアップにつながるか目が離せない一年が続く。