
日本最大の市民ランナーの祭典東京マラソン
今回は市民ランナーの祭典としてだけでなく、東京で開かれる世界陸上選手権の選考も兼ねて行われた
女子は来週の名古屋ウィメンズマラソンが残るが、男子は東京マラソンが最後の主な選考競技会になる
抜きつ抜かれつの混戦になった東京マラソンと、世界陸上選手権代表争いのリポート
逆転につぐ逆転の末、市山
海外勢のハイペースの先頭集団に唯一加わった太田蒼生。特殊な条件の箱根駅伝では活躍するが、オリンピック等での代表争いにはほぼ縁がなかった青山学院大学の選手の一人。しかし、今シーズンは大学勢が初マラソンで活躍中。
今年になって、青山学院大学の若林宏樹、黒田朝日が相次いで日本学生記録を更新する快挙を見せている。しかし、日本記録よりも2、3分速いタイムの海外勢のペースで走る太田。20キロ過ぎで先頭集団から遅れ、36キロ付近で途中棄権。
代わって上がってきたのは、パリオリンピック6位入賞の赤崎暁、と日本歴代2位の記録を持つ太田燿平。この実力者同士の日本勢トップ争いと思われたが、32キロ辺りで赤崎が失速。更に、後続を気にしていた池田も40キロ付近で後退。
ぐいぐい追い上がってきたのは粘り強い走りでチャンスを窺っていた市山翼。一気に池田を抜き去り日本勢トップに踊り出ると、そのままゴールまで突っ走って2時間06分00秒の好タイムでゴール。
ただ、優勝のケベデ(エチオピア)の2時間03分23秒からは2分30以上の遅れの10位。アフリカ勢とは勝負にならない状況。厚底シューズでタイムは上がっているが、世界は更にレベルアップ。2時間04分台が100人以上。まだまだ、世界は遠い。
世界陸上マラソン選考方法
男子参加標準記録2時間06分30秒
池田燿平 2:05:12
吉田祐也 2:05:16
近藤亮太 2:05:39
細谷恭平 2:05:58
市山翼 2:06:00
黒田朝日 2:06:05
菊池駿弥 2:06:06
若林宏樹 2:06:07
井上大仁 2:06:14
平林清澄 2:06:18
鈴木健吾 2:06:18
浦野雄平 2:06:23
柏優吾 2:06:28
2025年3月2日時点の標準記録達成選手
また例によって複雑極まる日本陸連の悪癖が出た選考方法。2023年4月から2025年5月までの対象レース【JMCシリーズ】で獲得したポイントを争う。更に上記の参加標準記録2時間06分30秒以内を記録した中などから、3人の代表選手が選ばれる。
なお、参加標準記録は2023年11月5日から、2025年5月4日までとなっているので、まだ確定はしない。更に、その選考方法は複雑で奇抜で、記すと長くなるので次に要点をまとめる
1 パリオリンピックで3位内
2 JMCシリーズチャンピオン
3 指定されたレースで日本新記録
4 記録、順位、気象条件を勘案し、本大会で活躍が期待される選手
5 必要ないと思われるので省略
参加標準記録達成した中から1~4の優先順位で選ばれる
問題は特に4番目。陸連はこれまでのオリンピックや世界陸上選手権代表の際、常にこの項目に似た点を設ける。要するに、幹部達が自分達の推しの選手を選考したいからなのだろうが、常にすっきりしない感が残る悪癖。
今回1と3は該当者がいないので、2の他は4で幹部達が決める事になりそう。はっきり言って最悪の感覚としか言えない。オリンピックや世界陸上選手権は一発勝負。その時にコンディションを含めた、自分の最高の状態を維持出来ない選手に好成績は残せない。
その点を考えて、選考レースも一発勝負にするべき。1つのレースを決めて、そこで勝ち上がった選手こそが最強。そして、誰にも文句を言われない選考方法になる。