もう秒読みのパ・リーグはともかくとして、セ・リーグは上位3チームによる混戦状態
連覇を狙う阪神、選手層の厚い巨人。そして予想を上回る健闘でリーグを引っ張る広島
今回は広島、巨人、阪神のセ・リーグ上位3チームの投打、そして監督の3点のリポート
広島の強みと弱点
昨年2位とはいえ、優勝したチームから11.5ゲーム差。戦力的にも上位球団と比べて劣るとみられていただけに、9月の時点でトップを走っている状況に驚きを禁じ得ない広島。2年連続での好成績は新井貴浩監督の手腕の賜物。
投の柱として既に2桁勝利の床田寛樹、前半勝ち星に恵まれなかったが、防御率1点台の精神的支柱大瀬良大地の2人の存在が大きい。抑えには36セーブの栗林良吏が控え、31ホールドの島内颯太郎などの中継ぎ陣も好調で投は万全。
投手力はともかくとして、他球団より劣ると心配された打撃陣。ベテランの秋山翔吾が先頭打者として引っ張るが、とにかく長打力の無さは深刻。本塁打数はリーグ最低で打点も5位に低迷。強打の外国人野手の補強は欠かせない。
チーム防御率が断トツ1位のように、投手力は強みだが、この選手層でトップを維持しているのは驚異としか言えない。もう一つの強みは薄い選手層にもかかわらず、我慢して若手を育てながら戦う新井監督の手腕。
巨人の強みと弱点
他チームからみたら羨ましい程の選手層を誇りながら、昨年4位でクライマックスシリーズにも進出出来なかった巨人。監督交代は当然だが、新監督の阿部慎之助の手腕が未知数なだけに不安はあったはず。
投手より層の厚い打撃のチームと思っていたが、大きいのは菅野智之の復活。昨年の4勝から一転して現在13勝2敗でリーグトップ。昨年程の出来ではないが9勝の戸郷翔征。抑えは相変わらず安定の大勢と投手の踏ん張りが目立つ。
翻って打線はこちらも復活の丸佳浩。昨年は打撃三部門ともこの10年で最低の成績。今年はレギュラー確定ではなかったが、徐々に調子を上げ不動の一番打者。そして、こちらも不動の4番岡本和真の2人でチームを引っ張っている。
やはり強みは長打力のある打線。投手が疲れを見せるこれからが選手層の厚さが物を言う。特に不調の坂本勇人の復活が鍵を握る。弱点というか、未知数なのが阿部監督の采配。勝負の懸かった終盤戦にこそ手腕が問われる。
阪神の強みと弱点
球団初の連覇を目指して臨んだ阪神。しかし、今年は波に乗れそうで乗り切れない歯がゆい状態が続いている。その原因の一つは戦力以前に、首を傾げたくなるような岡田彰布監督の独りよがりで堪え性のない言動。
投手で最も痛かったのはエース青柳晃洋の不振。5月まで僅か1勝で6月1日今季3度目の二軍落ちのまま、一軍のマウンドに戻れない状況。また、期待された大竹耕太郎も昨年程の安定感はない。11勝の才木浩人が先発陣で孤軍奮闘。
打者では今のところ安定した活躍をみせているのはトップバッターの近本光司だけ。期待されたクリーンアップ森下翔太、大山悠輔、佐藤輝明は安定感に欠けて打順が定まらない。チーム打率もリーグ最下位と力を発揮出来ていない。
戦力的には投打共にリーグ一二を争う布陣。敢えて、弱点といえば冒頭で述べた岡田監督。選手は長いシーズンで好不調の波があって当然。負け試合の度に名前を挙げてこき下ろすインタビュー。これでは選手も萎縮して力を発揮出来ない。