ソフトバンクの新人甲斐野央が期待通りの活躍を見せて、チームはもちろん解説者の評判もうなぎ上りだ。早くも新人王当確の声が上がっている。
甲斐野は兵庫県出身の22歳。小学校3年生から投手として軟式野球を始めて中学校では東播地区優勝。Kボールの兵庫県選抜として全国大会に出場して優勝。
高校は名門の東洋大姫路高校。1年秋からベンチ入りしているが、高校では主に三塁手を務めて投手としては二番手。甲子園出場も出来ずに最後の夏は県大会準優勝で涙をのんだ。
東洋大学に進み3年生の秋に初勝利を挙げ、いきなり5勝して最優秀投手とベストナインに選ばれる。
4年生の春には159キロを計時して注目を浴びる。9試合にリリーフして1勝0敗、防御率1.80。DeNAにドラフト1位で入団した上茶谷との継投でリーグ三連覇に大きく貢献した。
この年の東洋大学投手陣は他の大学からは垂涎の的で、甲斐野の他にDeNAには1巡指名された上茶谷大河、中日に2巡指名の梅津晃大という顔ぶれ。
3人共180センチ以上の大型投手で150キロ超の球速を誇る。
プロ入りした甲斐野は順調にキャンプをこなして3月3日の阪神とのオープン戦でデビュー。
先頭の同じドラフト1位の近本光司に対する一球目にいきなり158キロをマーク。セーフティーバントを決められてしまったが、噂通りの豪速球に本拠地ヤフオクドームのファンがどよめいた。
待望の公式戦デビューはいきなり開幕戦で訪れる。
昨年のペナントレースを制した西武と日本シリーズで広島を下して日本一に輝いたソフトバンクが最初から激突したパリーグ開幕戦。
両チームのプライドを掛けた戦いはエース同士の投げ合いで始まりソフトバンク先発の千賀滉大の好投で、4ー0と日本一のソフトバンクがリード。
しかし、8回に西武の4番山川穂高の一振りはレフトスタンドに突き刺さる満塁ホームラン。その後は両チームのリリーフ投手が好投して一歩も譲らず4ー4の延長10回に甲斐野がアナウンスされる。
プロ入り初登板が開幕戦の延長10回の同点場面。普通の投手なら逃げ出したくなる。
しかも、打者は前の打席で満塁ホームランを放った4番山川。
しかし,このルーキーは臆することなく自慢の速球とフォークで立ち向かい、昨年のホームラン王ばかりか森友哉、外崎修汰と続く強力打線を三者三振に斬って捨てる。
11回もそのままマウンドに上がリ内野安打こそ許したが後続を2三振に斬って抑え、その裏のサヨナラ勝ちにつなげて初登板初勝利を飾った。
「オープン戦で結果を残せなかったのに一軍に置いてくれた」と、感謝しながら悔しさをバネにしたルーキーはその後も快進撃を続けて4月24日10試合連続無失点と、新人としてのプロ野球タイ記録に並んだ。
そして、翌25日オリックス戦で二番手として登板した甲斐野。メネセスをフォークで空振り三振。後藤を153キロの直球で三飛に打ち取ってデビューから11試合連続無失点の日本記録を達成した。
ここまで11試合1勝0敗9ホールド。10回2/3を投げて被安打3、奪三振17、当然防御率は0.00。
「無失点をこれからも続けていきたい」と語るルーキーから当分目が離せない。
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