3月に現役を引退した元マリナーズのイチロー氏(45=本名•鈴木一朗)が、代理人を通じて国民栄誉賞の受賞を辞退する事を日本政府に伝えた。
イチローは2001年大リーグ1年目に首位打者とMVPを獲得した事から、当時の小泉内閣が国民栄誉賞を打診したところ、「まだ28歳で発展途上の身です。野球人生を終えた時点に頂けるように頑張りたいと思います」と、辞退した。
更に、やはり小泉内閣の2004年に大リーグシーズン262安打の最多安打記録を更新した際、「私は現役の間は頂く訳にはまいりません」と、自ら首相官邸に電話して辞退した。
今回は3月の東京ドームでの開幕シリーズの後に引退を表明したばかりなので、政府内にも打診すれば今度は受諾するのでは……、という見方も出ていたが3度目の辞退になった。
そもそも、国民栄誉賞は1977年に756本塁打の世界新記録を達成した王貞治内野手(巨人)をたたえる為に創設している。
その後、野球界からは1987年には衣笠祥雄内野手(広島)が2131試合連続出場の世界新記録樹立によって受賞している。
更には、2013年巨人の選手、監督として活躍した長嶋茂雄氏と、巨人、ヤンキースで日米通算507本塁打の松井秀喜氏が同時に受賞している。
今回イチローが受賞すれば野球界では5人目の栄誉だったが辞退に至った。
この辞退に対しては賛否両論でSNSにも取り上げられている。
イチローのポリシーでかっこ良いとか、安倍政府の人気取りに与する必要はないという賛成派。
一方で格好付けすぎとか、3度も断るのは日本政府に対して失礼という否定的意見もある。
過去に国民栄誉賞を辞退した人はイチローの他に2人いる。
1989年、海部内閣時に「栄冠は君に輝く」「闘魂こめて」「六甲おろし」等で有名な作曲家の古関裕而氏が死去した際に打診したが、「死んでから追贈されても……」と、遺族が辞退した。
更に、同じ野球界からは中曽根内閣時の1983年、ルー•ブロックの大リーグ記録(当時)の通算939盗塁を抜いた、「世界の盗塁王」福本豊氏。
「立ちションベンも出来んようになるがな。国民の手本にはならへんから無理や」と、ユーモアたっぷりの独特の福本節で辞退。
今回の辞退に対して、最初の国民栄誉賞受賞者•ソフトバンク王貞治会長は、「現役を辞めたからと思って日本政府も打診したんだろうけど、彼なりの考えがあるだろうからね。受ける受けないは本人次第」と、語っている。
個人的にはスッキリしない。確かに不人気な安倍政権の人気取りになるのはイチローもよしとしないだろうが、問題は断り方。
福本氏みたいにキッパリ断るなら分かるが、イチローの場合は3回とも気を持たせるような感じ。
ポリシー云々というなら、「私は要りません」とはっきり断った方がイチローらしいと思うのだが……。
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