プロ野球が開幕して3週間。まだ試合数でみれば1割消化したぐらいだが、じわっと今季の輪郭がおぼろ気に見えてきたような……
私が推したのはセ・リーグでは阪神、巨人、DeNAの順だが、大逃げの中日が早くも阪神に捕まり、ほぼ予想通りの展開に
パ・リーグはやはりイチ推しのソフトバンクが楽々と馬なりでトップ。オリックスも好位に付け、誤算は西武だけだが……
今回はそのパ・リーグで相変わらず下位に甘んじている楽天。その上位躍進に欠かせない田中将大の現状をリポート
これまでの田中将大
田中将大については、詳しく説明するまでもないと思うが簡単に述べておきます。1988年兵庫県伊丹市出身の35歳。駒大苫小牧で夏の甲子園連覇に貢献。ただ3連覇を狙った3年時は決勝で斎藤佑樹擁する早稲田実業に敗れる。
2007年、楽天のルーキーとして11勝を挙げて新人王を受賞。その後、楽天のエースとして活躍。特に、伝説となった2013年は負け知らずの24連勝で、投手タイトル独占。チームを初めてのリーグ優勝、日本一に導いた。
翌2014年、メジャー挑戦。名門ヤンキースと7年契約。右肘の故障で離脱しながらも13勝5敗の好成績。その後もヤンキースの主力投手として6年連続2桁勝利。
契約最終年となる2020年は新型コロナウイルス感染の流行で、メジャーの試合数が60。その上、キャンプ中に頭部に打球を受ける等で苦戦。自身のキャリアで最低の3勝3敗で終了。と、同時にフリーエージェントとなった。
復帰からの田中将大
メジャー7年間で78勝を挙げた田中の去就が注目される中、本人の選択は楽天復帰。2021年、故障で4月にずれ込んだが初登板は5回3失点で敗戦投手となり、メジャー移籍前からの連勝記録は28でストップ。
続く2試合目の登板で西武相手に6回1失点で、NPB100勝目となる復帰後初勝利。しかし、貧打の上に何故か田中の登板時には更に援護出来ない打線。防御率は3.01とリーグ5位ながら、4勝9敗と自身初の負け越し。
翌年は9勝挙げるも12敗。2023年は7勝11敗と2年連続の2桁敗戦。しかも防御率はキャリア最悪の4.91。復帰1年目は好投しながらも無援の打線に泣いていたが、昨年は先制しても守り切れない試合が増えていた。
これからの田中将大
日米通算200勝まであと3勝の197勝を誇る田中。昨年10月『右肘関節鏡視下クリーニング術』を受けて背水の陣で臨む今季。復帰時、日本球界最高の9億円の年俸も2億6000万円と激減。
更に、昨年発覚した安樂智大によるパワハラ事件では、現場にいながら制止もしていなかった事が判明。選手だけでなくファンの信頼も失いつつある状況。かって、恩師の野村克也元監督から『神の子』と言われた面影も無し。
正に、【背水の陣】で臨む今季。クリーニング手術からの回復は順調でキャンプは一軍スタート。オープン戦も2月24日中日戦で1回無失点、3月の阪神戦は2回1失点、オリックス戦3回1失点。球速も146キロまで回復。
今年こその期待が高まったが、その後は2軍調整。どんな大投手でも衰えは仕方ないが、経験値と培った技術で君臨するのは可能。あの全身に気魄を漲らせて吠える田中の勇姿の再現をファンは待ち望んでいる。頑張れ、マー君。