やはり最後まで縺れた日本シリーズオリックス-ヤクルト戦。昨年からの12試合中、10試合が2点差以内の決着という史上稀にみる大混戦。オリックスの3勝2敗1分で迎えた第7戦は序盤からオリックスが得点を重ねて5-0と珍しく一方的な展開。しかし、8回裏ヤクルトがオスナの3ラン等で一挙4点と反撃も、最後はオリックスの抑えワゲスパックが三者凡退に抑えて26年振りの日本一。
日本シリーズの結果
第1戦
オリックス 020 000 010 3
ヤクルト 201 100 01X 5
第2戦
オリックス 002 010 000 000 3
ヤクルト 000 000 003 000 3
第3戦
ヤクルト 000 030 103 7
オリックス 000 000 001 1
第4戦
ヤクルト 000 000 000 0
オリックス 001 000 00X 1
第5戦
ヤクルト 110 002 000 4
オリックス 000 210 003x 6
第6戦
オリックス 000 001 002 3
ヤクルト 000 000 000 0
第7戦
オリックス 100 040 000 5
ヤクルト 000 000 040 4
オリックス歓喜のV
初戦を絶対エース山本由伸で落とした上に、その山本が故障でシリーズで投げられるか分からない状況という最悪のスタートとなったオリックス。その上、第2戦は3点リードの9回裏に抑えとして期待された阿部翔太が、まさかの3失点で延長12回引き分け。地元に戻った第3戦も悪い流れを断ち切れず1ー7の完敗。
その悪い流れを断ち切ったのは自慢の投手陣。第4戦、3回に杉本裕太郎のタイムリーで先制すると、先発山岡泰輔をリリーフした宇田川優希、山碕颯一郎がヤクルト打線を断ち切りノーヒットに抑える熱投。最後は新守護神ワケゲスパックでヤクルトを0封。これで流れが変わった第5戦はヤクルトが1点リードの9回裏、主砲吉田正尚がサヨナラホームラン。目覚めた主砲のこの一発で完全にオリックスペース。
再び神宮球場に移った第6戦。ヤクルト小川と、オリックス山崎福也の投げ合いから、第4戦に続く杉本の先制打。これを6回以後リリーフ陣がノーヒットに抑えて、このシリーズ初めてオリックスが勝ち越し。王手をかけた第7戦もオリックスペースで、初回太田椋の先頭打者ホームランで先制。5回にはヤクルトの守備の乱れで決定的ともいえる4点の追加。8回ヤクルトがオスナの3ラン等で4点を返すが、最後はワケゲスパックが1点を守り切って、オリックス26年振りの日本一。
ヤクルト連覇成らず
初戦のエース対決を小川泰弘で制したヤクルト。パ・リーグ投手2年連続三冠の山本を攻略しただけに、流れをものにして断然優位のムード。続く第2戦も3ー0の劣勢を9回裏の内山壮真の3ランで引き分けに持ち込む。京セラドーム大阪に移った第3戦は巻き返しを期すオリックスを寄せ付けず、山田哲人の先制3ラン等で快勝。ここまで5本塁打のヤクルトに対して、懸念された長打力不足が露になりホームランゼロのオリックス。両チームのムードからみても、ヤクルトの連覇濃厚と思われた。
しかし、第4戦ヤクルトは42歳の先発石川雅規の5回1失点の好投を見殺し。オリックス先発の山岡泰輔を再三のチャンスが有りながら崩せない。結局、オリックス自慢の救援陣の前に1ー0と完封を許す。第5戦は両チーム合わせて23安打の打撃戦。ヤクルトが常に先手を取りながら、相手の主砲・吉田正尚の劇的なサヨナラホームラン。これで完全に立場が入れ替わり、オリックスの流れになってしまう。
舞台は変わって再び神宮球場での第6戦。シリーズ2勝目を狙うエース小川の6回1失点の熱投も、自慢の打線がオリックス投手陣にわずか1安打の完封負け。まさかの3連敗で後がなくなったヤクルトに対して、完全に流れを掴んだオリックスが1回太田の先頭打者ホームランで先制。更に、5回にはエラーも絡んで4失点。8回裏にオスナの3ラン等で4点を返す意地を見せたヤクルトだが、1点及ばずオリックス26年振りの優勝を許してしまった。
まとめ
昨年と同じ顔合わせになった今年の日本シリーズ。昨年はヤクルトが4勝2敗で制し、6試合全てが2点差の史上稀にみる熱戦だったが、今年も第3戦ヤクルトが制した7ー1以外の6戦は3点差以内の激闘。
オリックスはエース山本を故障で欠きながら、充実した救援陣の強みでヤクルトの反撃を許さなかった。この投手力の差が日本一の原動力となった。
ヤクルトは打撃面では優位を保ち、安打数こそオリックスと同じだったが、得点、打点、本塁打数は全て上回っていた。ただ、シリーズを通して活躍したのは塩見とオスナの2人だけ。主軸の村上宗隆と山田の不調が響いた。
投手に関しては先発、中継ぎ共に役割は果たした。誤算は守護神のマクガフ。投球以前に守備面での課題が露になり、これをクリアしない限りは来シーズン他球団に狙われそう。
2年連続最下位からのリーグ2連覇同士という実力チームの日本シリーズ。オリックスが4勝2敗1分で制したが、昨年同様に熱戦を演じて実力は互角。来年も3連覇を成し遂げた両チームがあいまみえるのか、それとも他のチームが巻き返すのか、来シーズンを楽しみにしたい。
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