令和の怪物といえばロッテ佐々木朗希の代名詞かもしれない。しかし、今年覚醒した令和の新怪物、ヤクルト村上宗隆も半端じゃない。今、一振りでこんなにムードを変えてしまう選手はセ・リーグでは他に見当たらない。もちろん、佐々木よりも先輩の上にプロ入り２年目からヤクルトの主力として活躍していたので、今さら新怪物とか目覚めたというのは失礼なのかもしれない。しかし、今シーズンの活躍は正に覚醒としか言いようがない。史上最年少と何か記録を達成する度にくだらない数字を並べ立てる風潮があるが、そんなものは超越した感のある村上。今後メジャーも黙ってはいないだろうが、話題性の大谷翔平よりも実績では遥かにしのぐ選手になれる。今年、三冠王も行けそうな村上のレポート。
プロ入り前の村上宗隆
多くのプロ野球選手が父親や兄弟の影響を受けて野球を始めるケースがあるが、村上宗隆も熊本出身のクラブチームに所属していた兄に倣って、幼少から興味を持って小学校入学してから入団。更に、６年生で硬式野球の『熊本東リトルシニア』に入る。中学時代には九州選抜チームに入って台湾遠征にも参加する程の選手に成長していた。
その後、熊本の名門九州学院に進学。１年から一塁手の定位置を確保して４番を任せられる。後にＤｅＮＡに入団する２年先輩の伊勢大夢と共に甲子園出場。初戦で石川県の遊学舘に敗れる。その後は２年連続で県大会決勝に進んだが、何れも秀岳舘に負けて甲子園は一度だけの出場で終える。２０１７年ドラフト会議では、清宮幸太郎指名で抽選を外したヤクルトが、更に３球団競合の末に獲得した。
プロ入り後の村上宗隆
村上宗隆の年度別打撃成績（一軍のみ）
試合数 打率 本塁打 打点
２０１８ ６ ．０８３ １ ２
２０１９ １４３ ．２３１ ３６ ９６
２０２０ １２０ ．３０７ ２８ ８６
２０２１ １４３ ．２７８ ３９ １１２
２０２２ １２０ ．３４１ ５１ １２５
高校時代は結局１年時の甲子園出場だけに終わり、通算５２本塁打で長打力こそスカウトから評価は受けていたものの、プロ野球ファンからは無名の存在に等しい。同期にはそれこそ怪物呼ばわりされた清宮がいて同じ長打力の打者として注目を集めていた。しかし、村上は一年目から二軍で１７本塁打、７０打点と活躍。９月１６日には一軍昇格を果たして、広島戦で６番・三塁手でデビュー。いきなり初打席初本塁打を記録して、『村神』と呼ばれる第一歩を踏み出した。
２年目の２０１９年、オープン戦から結果を出して６番・三塁手で開幕戦から先発出場。そこから、今年コロナ感染の疑いで一試合外れた以外は全試合出場し、ヤクルトの主力として重責を果たしてきた。２年目３６本塁打。新型コロナウイルス禍で１２０試合の２０２０年は２８本塁打。そして、昨年は３９本塁打で岡本和真（巨人）と並んで本塁打王の初タイトル獲得と共に、ヤクルトのリーグ制覇と日本一に貢献。
昨年までも高卒４年目の若武者としては一流の成績を残してきた村上。しかし、今年は更に進化して超の付く一流に駆け上がる。５月の巨人戦で２試合連続の満塁ホームラン、６月には交流戦ソフトバンク相手に逆転満塁ホームランなど価値ある一発を連発。そして、極め付きは７月３１日阪神戦から８月２日中日戦の２試合にまたがっての史上初の５打席連続本塁打。更に、９月２日には日本人選手として松井秀喜以来２０年振りとなる５０号本塁打を達成。『村神』と呼ばれる新怪物となった。
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これからの村上宗隆
これ程大ブレイクした選手は当然メジャーも注目しているはず。村上本人もメジャーに興味あるという噂もある。しかし、まだ入団して５年目の選手。しかも、一年目は１４５日出場選手登録という条件を満たしていないので、ＦＡを行使出来るまでには順調に行ってもあと５年はかかる。ポスティングシステムはあるが、早くても２、３年先になりそう。ただ、ヤクルトそのものはポスティングシステムに消極的な球団ではない。これまでに２００２年石井一久（ドジャース）、２００６年岩村明憲（デビルレイズ）、２０１１年青木宣親（ブルワーズ）と３選手が移籍している。
問題は日本人選手がメジャーで活躍するのは圧倒的に投手が多いという事実。イチローは足で内野安打稼げたから数字が上がった。ホームランを期待された松井秀喜は長打力に限界を感じて、一発狙いだけに頼らない対応力で実績を残した。大谷翔平は二刀流が売りだがタイトルには縁が無さそう。もし仮に村上がメジャーに挑戦するならホームラン王になって欲しい。そのためには、あと２、３年しっかり準備して悔いのない状態でチャレンジしてもらいたい。そのためにも、これから毎年のホームラン王のタイトルはもちろん、ヤクルトの先輩であるバレンティンの６０本の更新を期待したい。
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