アメリカ大リーグ・マリナーズの菊池雄星が6度目の先発でようやく初勝利を挙げた。
日本時間21日敵地でエンゼルス戦に先発した菊池は5回を10安打4点と、決して良い成績ではなかったが、味方の援護もあり、デビューから1ヶ月してようやく初白星をつかんだ。
これまで、好投しながらリードをふいにされる等ツキに見放されていた時もあったが、この日は逆に5回まで毎回の10安打を打たれる苦しい内容。
決め球のスライダーが思うように決まらず、一番信用出来るボールという直球で踏ん張る。
4回2死一塁二塁のピンチではエンゼルスの主砲・トラウトを内角直球で詰まらせショートゴロに抑える。
勝ち投手の権利がかかった5回2死三塁には、「もう一回気持ちを入れ直した」と、8番・ボアシャスを153キロの直球でショートゴロに打ち取って切り抜けた。
この白星は3月末に59歳の若さで亡くなった父・雄治さんに届ける待望の勝利でもあった。
プロ入りの時もメジャー移籍の際も息子を信じて何も言わずに見守り、送り出してくれた最愛の父。
先月亡くなった時も、「父は野球に専念してチームの勝利の為に頑張って欲しいと言っていました」と、最長7日間の忌引休暇を敢えて行使しないで己の本分である野球を全うした菊池。
「アメリカに来る事を一番喜んでくれた。まだお墓参りにも行けてない中でまた会えるんじゃないかという気持ちもあったりして、実感もないというのが正直なとこなんですけど、最高の父親でしたしいい報告が出来ると思います」と、試合後に話した。
チームメートも祝福している。
「ユウセイが初勝利を挙げて、僕も貢献する事が出来てとにかく嬉しいよ」
4回2死満塁のチャンスに左翼線に2点タイムリーを放って勝利に貢献したディー・ゴードン内野手。
「彼は良い投球をしていたけど、僕達は勝たせてあげられなかった。彼は僕達にとって大事な存在。僕達は気分良くプレイ出来るようにしてあげなきゃね」と、今後のサポートを約束した。
更に、開幕直後に父親を亡くしている事について、「海外からやって来て、彼の父親に起こってしまった事は誰にとっても辛い事だから」と、気遣っていた。
日本からも多くの祝福メッセージが届いたという。
「西武時代のチームメートとか、仲間だったりとか、たくさん頂きました。自分が嬉しいというより周りの方々が喜んでくれるのが何よりも嬉しい。大きなモチベーションですね」
しかし、まだ1勝。喜びから一夜明けた菊池はグラウンドに出てキャッチボール、フラットスロー、短い距離のダッシュを軽く10往復して汗を流して、既に次回の登板へ気持ちを切り替えている。
シーズンオフに日本に帰って父の墓前に恥ずかしくない報告をする為には、まだまだ白星を積み上げていくしかない。
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