
大相撲秋場所初日は両横綱と大関が白星発進
久しぶりの上位による優勝争いになるのか?
次の大関を狙う力士も併せて秋場所リポート
最高位大の里貫禄見せるか
横綱2場所目にして最高位東横綱に陣取った大の里。横綱として初めて臨んだ名古屋場所は「大変だとは思っていたが、こんなにとは思わなかった」と、場所後に綱の重圧を吐露していた。昭和以降の新横綱では最多となる4個の金星配給で、11勝4敗に終わって平幕に優勝をさらわれた。
場所前は関取衆との稽古を増やし、「今場所は優勝したい」と気合いが入っている。先場所は立ち合いから攻めきれないとみるや、安易なはたきに頼り墓穴を掘ってしまう相撲が多かった。右差しだけでなく、かいなを返して相手を浮き上がらせる攻めを習得しつつある。
立ち合い一気に攻められる事は殆どないはず。恵まれた体で相手の当たりを受け、すぐに反撃に転じ安易にはたきに頼らなければ平幕への黒星も減るはず。どっしりと構えて、多少攻められても慌てず前に出る。実力一番と自信を持って優勝を目指す。
復活を期す豊昇龍の優勝か
横綱となって4場所目となる豊昇龍。これまで優勝はおろか、争いにさえ加われない状況が続く。しかも、3場所中2場所は途中休場と責任を果たしているとは言えない。今更言っても仕方ないが、横綱審議委員会をはじめ、相撲協会幹部の安易な昇進決定が批判されても仕方あるまい。
ただ、場所前の稽古は順調で横綱審議委員会総見でも好調ぶりを示している。軽量故に相手を受け止めて勝つ横綱相撲は、現在の大型化した相撲界では難しい。立ち合いからのスピードを活かした攻めの姿勢が求められる。
ただ、その相撲には対戦相手の変化やいなし等の不安が付きまとう。常に相手を見ながら速い立ち合いから主導権を握るのは至難の業。しかし、今までにない新しい横綱象を求めて日々精進するしかない。序盤戦を無難に乗り切れるかが鍵を握る。
再び綱取りを目指して琴桜
昨年の九州場所で初優勝し、横綱の最有力に見られていた琴桜。しかし、その後の4場所は5勝、8勝、8勝、8勝とまさかの大失速。恵まれた体格を生かして立ち合い受け止めて、柔軟に対応する横綱相撲を期待していたが、結果は出せず豊昇龍、大の里に先を越された。
この数場所は相撲に迷いが生じているのか攻守にピリッとした所がない。上記したように受けて攻めるのが琴桜の良さだが、自信喪失気味の今、思い切って攻めの相撲に変えてみるのも必要かもしれない。
それで結果を残して横綱昇進を果たしてから、本来の受け止めて勝つ相撲を目指すという方法もある。とにかく、今のままでは横綱昇進はおろか大関維持も難しくなりそう。今場所と来場所が最後と思って相撲人生を懸ける覚悟で取り切って欲しい。
大関昇進を争う2人の関脇
令和5年春場所で怪我をして、幕下陥落から盛り返して再び大関昇進に王手を懸けた若隆景。以前からの鋭い立ち合いで下からの攻めが見られている。この2場所、12勝、10勝として今場所11勝が大関への目途。初日は黒星スタートとなったが、持ち前の精神力で昇進を決めるか。
昨年の夏場所で大関陥落も、ほぼ三役を維持して大関復帰を目指す霧島。相変わらず粘り強い相撲巧者ぶりは健在。ただ、この一年は2桁勝利が2場所続かない状況。大関として求められる安定感に欠けるのは否めない。技量に加えて速い攻めが求められる。
久しぶりに横綱、大関の優勝争いが見られそう。ずばり本命は大の里。先場所失敗した引きを封印して2場所ぶり5度目の優勝を目指す。
対抗は豊昇龍。怪我も癒えて場所前の稽古は十分。序盤戦を乗り切って波に乗れば、対大の里戦には自信あるだけに勝機はある。
このところ自信喪失気味の琴桜だが、初日は難敵阿炎を攻めて一蹴。現状打開には攻めの相撲で活路を見出して復活か。