大相撲春場所で42回目の優勝を全勝で飾った白鵬が優勝インタビューを受けた時に観客に三本締めを促した件で、日本相撲協会のコンプライアンス委員会は4月8日、師匠の宮城野親方(元幕内•竹葉山)と白鵬に事情聴取した。
この件はテレビで観た人も多いはずだが、優勝力士の表彰式の途中に土俵下でNHKのアナウンサーのインタビューに受け答えする、千秋楽恒例の行事である。
普通の力士はアナウンサーの質問に真摯な受け答えで応じ、優勝の喜びを噛みしめながら淡々と控え目な態度で好感が持てる場合が多いが、白鵬はインタビューの最後に観客を促して三本締めを行ってしまった。
翌25日両国国技館で開かれた日本相撲協会の横綱審議委員会では、「違和感を覚えるという委員が多かった」「一力士としてやれる立場か」等と、懐疑的な意見が多かった。
これを受けて28日の日本相撲協会の定例理事会で、白鵬らの処分可否についてコンプライアンス委員会(委員長=元名古屋高検検事長•青沼隆之)に意見を求める事を決め、それを受けたコンプライアンス委員会が宮城野親方と白鵬から事情聴取に踏み切ったものである。
この一連の相撲協会の対応に対して、世間的には賛否両論だか、私はやはり行き過ぎる行為だと思う。
相撲道から鑑みても日本人の考え方からしても、勝者は公の場で己の優位性を過度に誇示すべきでは無いからである。
まして、白鵬は以前にも優勝インタビュー時に観客に万歳三唱を促して物議を醸し、厳重注意処分を受けた〈前科〉がある身。
前人未到の優勝回数を始め数々の記録を塗り替えて史上最強の横綱という声が聞かれるが、残念ながら史上最高の横綱にはほど遠いと言わざるを得ない。
また、土俵上の態度でも何度も物議を醸し、横綱として考えられない事だが、これまで8回もの厳重注意処分を受けている。
大相撲ファンなら思い当たる節があるはずだが、立ち合いの張り差しや、顔面への張り手の多さ。
元横綱稀勢の里等の強敵相手の際の、わざと焦らしてなかなか立とうとしない姑息な立ち合い。
土俵際で勝負が決まったにもかかわらず仕掛ける無用なダメ押し。
行司から懸賞金を受け取った後のこれ見よがしの大袈裟に持ち上げる仕草……、これが本当に横綱かと思う程不躾な態度、仕草は枚挙に暇がない程である。
もうこれだけ問題を起こしても反省する様子も無いからには、今回は厳重注意処分等では済まさず、実質的な処分を下すべきであろう。
いくら実績があろうが、ただすべきところは厳正にただし、相撲道を守るべきである。
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