日本相撲協会は5月29日、東京両国国技館で大相撲名古屋場所(7月7日初日、ドルフィンズアリーナ)の番付編成会議を開き、新十両4人と再十両1人の十両昇進を決めた。琴鎌谷改め琴ノ若(21)=本名鎌谷将且、千葉県出身、佐渡ヶ嶽部屋┃一山本(25)=山本大生、北海道出身、二所ノ関部屋┃木崎海(24)=木崎伸之助、沖縄県出身、木瀬部屋┃竜虎(20)=川上竜虎、熊本県出身、尾上部屋┃貴ノ富士(22)=上山剛士、栃木県出身、千賀ノ浦部屋。
今回の十両昇進力士は話題の力士が多く、中央大学出身の一山本は、2016年9月に年齢制限を緩和した新弟子検査の新規定で初の合格者。日本大学出身の木崎海は鳥取城北高校3年時、高校横綱のタイトルを獲得し日本大学から三段目最下位格付け出しで初土俵。十両美ノ海の弟で史上21組目の兄弟関取。竜虎は師匠の尾上親方(元小結浜ノ嶋)の甥。
● 角界のサラブレッド琴ノ若
しかし、何と言っても最大の注目は琴鎌谷改め琴ノ若。父親は師匠の佐渡ヶ嶽親方(元関脇琴ノ若)で、史上10組目の親子関取。更に母方の祖父が先代佐渡ヶ嶽親方の元横綱琴桜という超名血、正に角界の申し子、サラブレッド。
1997年11月19日、現役の幕内力士だった琴の若(当時)の長男として千葉県松戸市に生まれる。幼少期から祖父の琴桜に相撲の基本を叩き込まれて、中学校からは親元を離れて埼玉栄中学校、高校に進み主将を努めて全国高等学校総合体育大会で団体優勝、世界ジュニア相撲選手権大会で団体と個人を制した。
埼玉栄高校在学中に父親が師匠を努める佐渡ヶ嶽部屋への入門を発表して、2015年九州場所で初土俵。2016年初場所に東序ノ口20枚目で初めて番付に名前が載り7戦全勝で優勝。序二段を一場所、三段目を二場所と負け越し無しで通過。このままとんとん拍子に番付を駆け上がると思われたが、幕下3場所で三段目に陥落。すぐに幕下に復帰したが一進一退を繰り返して、結局序ノ口優勝から21場所を要して今年夏場所自己最高位の東幕下2枚目に躍進。
初日から3連勝と快調な滑り出しを見せて待望の関取の座に王手を掛けたが、そこからまさかの3連敗。七番相撲でようやく勝ち越しを決めて新十両を手にした。長い大相撲の歴史で親子関取も10組目と稀少だが、親子3世代にわたる関取も極めて異例。
29日、新十両昇進を受けて千葉県内の祖父の墓前に吉報を届け、琴鎌谷改め琴ノ若と同時に下の名前を「琴桜傑将(まさかつ)」から一字もらい、「琴ノ若傑太(まさひろ)」と名乗る事も報告した。2代目琴ノ若は三段目に上がったら名乗ると、入門時からの師匠との約束。結局、新十両昇進を果たしてようやく襲名出来たが、もう一つの夢がある。
偉大な祖父元横綱琴桜との約束。「お前が上がったら俺の四股名(琴桜)をやる」。将来、大関以上になった時点で襲名するという。新十両の会見では「2代目琴ノ若は全然顔じゃないけど、この四股名に恥じぬように精進していきたい」と意気込みを語った琴ノ若。更に、「師匠と先代に追い付きたい気持ちがまた湧いてきた」「ここがスタートライン。先代が(天国で)ヒヤヒヤしないような相撲を取りたい」と、身を引き締める。
188センチ、153キロの恵まれた体に幼少期から祖父と父親に叩き込まれた相撲道。右四つ、寄りの堂々とした取り口を更に磨いて、より大きな夢【横綱琴桜】の誕生をオールドフォンは待っている。
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