数々の記録更新と騒がれて初めての綱取りへ挑んだ大の里
場所前に体調を崩して心配されたが、杞憂に過ぎなかった
圧巻の強さで一発回答で応えた大の里をはじめとする夏場所のリポート
大の里時代到来か
正に圧巻、異次元の強さと安定感で終始夏場所をリードした大関大の里。本人が大事と言っていた序盤戦は先場所苦杯をなめた相手が多く心配された。しかし、殆ど危なげのない取り口で圧勝。
ライバルと思われた役力士達が次々と脱落していく中、中日で無傷の勝ち越しで単独トップ。たまに引く相撲も見られたが、余裕を持ってのはたきで危なげはなく、独走態勢で１３日目には優勝決定。
相撲内容も二所ノ関親方が話す、相手を受け止めてから攻め返すという横綱相撲。持ち前の破壊力のある突き押しだけでなく、右差し左押っつけという型も習得し、安定感も兼ね備えた。
千秋楽にまさかの一敗は喫したが、強さと安定感で追随する力士はいない程の存在になった。今後、どこまで優勝回数を伸ばしていくのか。本人の目指す【唯一無二】の存在へ来場所から再スタートを切る。
並立なるか豊昇龍
先場所途中休場で横綱としての初めての場所を不本意な成績で終えた横綱豊昇龍。場所前は稽古十分で他を圧する雰囲気。しかし、２日連続金星配給で１２日目には痛恨の３敗を喫して更に後退。
立ち合いから速い攻めで相手を追い込む時は強い。が、軽量ゆえに突き押し相撲の力士に先手を取られた場合は脆さが出る。序盤戦の２敗は突き押し得意の相手に屈したもの。
その後７連勝と持ち直したものの、１２日目の黒星で優勝は絶望的に。千秋楽は意地を見せて大の里に土を着けたが時すでに遅し。軽量ゆえに今後も序盤戦で格下相手に負ける事も絶えないような気がする。
ただ、これで対大の里戦は６勝２敗。序盤の黒星を極力減らし、一騎討ちに持ち込めれば優勝の可能性も出てくる。【唯一無二】を目指すライバルの独走を許すのか、２強時代を築くのかは豊昇龍次第。
大関候補の三力士
一人大関になる来場所以降、次の大関を目指す筆頭は小結若隆景。三年前には優勝も含めて７場所関脇を務め、大関への一番手も怪我で幕下まで陥落。そこから盛り返し今場所は小結で１２勝。右四つ左押っつけの型で、安定感を武器に大関を目指す。
対抗には元大関の霧島。故障もあって大関から陥落したのが１年前。その後は安定感に欠けるが２桁勝利３回と実力は衰えていない。今場所は関脇で１１勝と再大関への起点になった。ただ、技能はあるが力強さに欠けるのが難。盛り返せるか。
実績では最も大関に近いのが関脇大栄翔。この５年間で２３場所の三役。ただ、突き押し一辺倒の取り口だけに安定感には欠ける。特に最近は２桁勝利が続かない。今場所も成績次第では昇進の可能性はあったが１０勝止まり。執念で再び大関へ挑む。
