
唯一無二へ躍動大の里
初めての綱取りの場所を全勝ターンという最高の形で折り返した大関大の里。序盤戦はいくらか硬さも見られたが、日を追うごとに落ち着き、風格が感じられるようになってきた。
内容もはたきが出る相撲はあるが、攻められても冷静さが見られる。危ないと感じられた相撲は見当たらない。攻めに転じる時は持ち前の圧倒的な破壊力で相手に付け入る隙を与えていない。
本人が大事と口にしていた序盤戦に、侮れない難敵が続いたが全て退けて自信に満ちた相撲内容になってきた。今の状態なら負かす相手は見当たらないと言っても過言ではないだろう。
ただ、これから更に番付上位の強敵との取組が待ち受けている。特に、優勝と綱取りに直結する終盤戦での戦いが重要になってくる。そこで実力だけではなく精神面での強さも求められる。
己を信じて力を出し切れるかが勝負の分かれ目になる。大横綱、名横綱と言われた人達が乗り越えてきた道。その重圧に堪えうる心技体。今の大の里なら一気に決めてくれると信じたい。
打倒大の里の可能性は
優勝はもちろん、初めての全勝の可能性もありそうな大の里。しかし、簡単にそれを許しては本人の言う『唯一無二の存在』の力士となってしまいかねない。立ち塞がる可能性のある4人を挙げてみたい。
まずは絶対に阻止しなければならない横綱豊昇龍。既に2敗し、一人横綱としての面目に掛けても壁にならなければならない存在。破壊力では敵わないが、鋭い出足とスピードで圧倒したいところ。不戦敗を除き5勝1敗の相性の良さで倒したい。
一時は横綱昇進争いのトップに立っていた大関琴桜。豊昇龍に続き大の里にまで先を越されては、自身の綱取りのチャンスは遠くなるばかり。この2場所は不甲斐ない成績に終わっているが、逆に大の里には連勝。意地を見せて打倒なるか。
1勝6敗と分が悪い関脇大栄翔。しかし、強烈な突き押しの破壊力は誰もが認めるところ。今場所は特にその持ち味が冴えている。自らの大関昇進の為にも勝って存在感を示したい。立ち合い一気の突きからタイミングの良いいなしで崩せるか。
2年前は大関最有力候補と見られながら怪我で幕下陥落。そこから這い上がってきた小結若隆景。初日豊昇龍に負けたが7連勝と上り調子。持ち前の足腰の良さと強烈な押っつけが冴えている。対戦成績は2勝2敗。かいくぐって食い付ければチャンス。