横綱照ノ富士の途中休場、大関貴景勝の全休、今場所の目玉の新大関霧島の途中休場、出場……。看板力士のドタバタで大関獲りの三関脇が注目を集めた大相撲名古屋場所。
先場所から14連勝の錦木、鋭い突き押しの北勝富士が場所を引っ張り、注目の三関脇もそれぞれの持ち味を生かして盛り上げた。結果、初優勝と大関を手にした豊昇龍が主役に躍り出た名古屋場所を振り返ってみる。
優勝 豊昇龍(初)
殊勲賞 錦木(初)
敢闘賞 豊昇龍(初)
琴ノ若(4度目)
北勝富士(初)
豪ノ山(初)
湘南乃海(初)
伯桜鵬(初)
技能賞 伯桜鵬(初)
明暗分けた三関脇
史上初の三大関誕生か、等と一部の解説者やマスコミが騒いでいたがそんなに甘いものではない。その中で終盤に崩れた2人を尻目に12勝3敗で賜杯と大関の両手に花を成し遂げたのが豊昇龍。
切れ味鋭い投げと粘り強い足腰での土俵際の逆転などの持ち味で、三役昇進後9場所連続の勝ち越し。ただ、前に出て圧倒する相撲が少なく綱渡り的な勝ちも多く、絶対的な強さとはいえない。
また、立ち合いも元白鵬や遠藤みたいな駆け引きが多くて見苦しい。今後横綱を狙うなら相手に合わせた立ち合いと、策を弄せず堂々と相手を攻め切る大関相撲を身に付けて欲しい。
三人の中で最も勢いがあると期待していた大栄翔。序盤は他を圧する馬力で10日目で勝ち越し。しかし終盤は足が揃ってしまい、はたきこみ等でばったり落ちる相撲が続出。15日間を安定して取り切る押し相撲の難しさを露呈してしまった。
若元春は安定感はあるが3人の中では実績的にもやや見劣りする感が否めなかった。それでも、四つだけでなく強烈な押しもあるので楽しみにしていたが、初めての大関獲りで固くなったのか積極性が見られず相手に先手を許していた相撲があって残念。
30代平幕の健闘
30代の平幕勢の奮起が目立った今場所。その一番手は持ち前の突き押しで一時単独トップに躍り出ながら逆転を許した北勝富士。外連味のない押し相撲で真っ向勝負なだけに、やっと巡ってきたチャンスに賜杯を抱かせてあげたかったが、またの活躍を期待したい。
前半の土俵を見ていて現在の幕内で最強ではと思わせたのが錦木。元々、重い腰には定評があったが攻めの遅い感が否めなかった。しかし、先場所から14連勝を飾るなど横綱照ノ富士をはじめ三関脇も連破。後半まさかの4連敗で崩れたが、どっしりした取り口は秀逸。
今後の注目力士達
ついに覚醒したかのような攻めの相撲が目立った琴ノ若。これまで圧倒する強さを見せ付ける反面、意外に脆さを見せるような取り口が目立っていた。今場所も9日目で既に4敗。しかし、苦手な豊昇龍を押し出してから覚醒。攻めを貫いて6連勝。次の大関に名乗りをあげた。
やはり実力はピカイチのものがあると見せ付けたのが朝乃山。豊昇龍戦で左上腕を痛め途中休場。実質4日間の休みで4勝4敗3休から再出場。一つも落とせない状況から上位相手に4連勝。怪我のハンディが有りながら勝ち越し。やはり、この男も大関争いからは外せない。
3人の新入幕全てが2桁で揃って敢闘賞受賞。優勝争いに絡んだ伯桜鵬は新人とは思えない相撲巧者。離れても組んでも取れるのは長所だが、今の馬力では上位では通用しない。誰にも負けないという型を身に付けるのが先決。
徹底して離れての突き押しが身上の豪ノ山。見ていても清々しいタイプだが、この相撲に磨きをかけると同時に組まれても取れる工夫が必要。本来は左四つの型が有りながら、押しの威力もある湘南乃海。193センチ、186キロを生かせば三人の中の出世頭にもなれるはず。
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