荒れる大阪場所と言われているが、尊富士まさかの新入幕優勝
競馬でもノーマークの馬が逃げて、他の有力馬が牽制してる間に逃げ切りという事がある
今場所新入幕の尊富士もあれよあれよと言う間に勢いに任せて逃げ切った感じ
優勝 尊富士 13勝2敗
殊勲賞 尊富士
敢闘賞 大の里 尊富士
技能賞 大の里 尊富士
新入幕でいきなり優勝・尊富士
正に快挙。新入幕での優勝は110年前の両国梶之助以来というから、いきなり新入幕で伝説と化した感じの尊富士。如何に荒れる大阪場所といっても、開いた口が塞がらないという程の驚き、驚異を目の当たりにした感じ。
普通、相撲中継を観る人は仕事を終えた午後5時以降の後半戦。新入幕で幕尻の尊富士の取組はほぼ幕内の最初の4時過ぎた辺り。横綱、大関が連日敗れる波乱の中、ただ一人白星を重ねていると思っていても、その相撲内容は殆んど不明。
その相撲内容を一言で言い表せば速さに尽きる。圧倒的なスピードで相手を土俵の外に運んだという印象。快進撃に9日目で小結阿炎と組まれ、その後大の里、琴ノ若も撃破。昭和の大横綱大鵬に並ぶ新入幕11連勝と勢いが止まらない。
これまでも勢いに乗って連勝を続けた新入幕力士はいたが、大抵は上位の壁に阻まれる。それを突破した尊富士は見事というしかない。しかし、2場所目の壁があるのも事実。勢いでなく本物の実力か否かを問われる来場所に注目したい。
強さは本物連続11勝・大の里
尊富士が新入幕なら、一足早い先場所新入幕で大活躍したのが大器大の里。あちらがスピードなら大の里は圧倒的破壊力で根こそぎ持っていく相撲。その力強さは大幅に番付を上げた今場所も変わらず9日目で早くも勝ち越し。
先場所は3連敗に終わった三役以上との対戦も今場所は4勝2敗。上位に対しても臆する事なく持ち前の強烈な当たりで向かっていく正攻法の攻めを貫いた。尊富士と違い勢いだけでなく、2場所目でさらなる進化を見せてくれた。
ただ、課題はある。さすがに、上位陣相手では一気に土俵の外へ運ぶ相撲は続かない。得意は強烈な突き押しだが、大の里の場合は回しを取っての右四つ、寄りの形も持っている。
如何にずば抜けた破壊力と言えども、大関、横綱を目指すなら組んだ相撲の技術も必要。当たって前に出て、自分に有利な形で回しを取る。押して良し、組んで良しの万能相撲を身に付けた時、『大の里時代』が到来するだろう。
影が薄かった、横綱大関三役陣
新鋭2人の千秋楽の優勝争いに加われなかった上位陣。横綱照ノ富士は3日間連続の金星配給などで途中休場。4大関も一日たりとも揃って白星を挙げる事なく、早々に優勝争いで後手を踏んでしまった。
場所前に好調さを伝えられた霧島は初日から4連敗で巻き返しも出来ずに5勝10敗。来場所はカド番に追い込まれた。首の故障でカド番の貴景勝はようやく勝ち越したが、終盤に途中休場。
4大関で最多の11勝を挙げた豊昇龍。大の里、尊富士を下して存在感は見せたが、攻めの姿勢は見られず逆転の投げで星を拾う相撲が目立った。上を目指すには立ち合いからの速い攻めが不可欠。
新大関琴ノ若は昇進に伴う行事などで稽古不足が懸念される中、2桁勝利は一応の及第点。どっしり構えた受けの相撲だけでなく、終盤は突き押しで前に出る相撲も見せた。組んでも離れても取れる長所を活かして、まずは念願の初優勝を。