バスケットボールのワールドカップ男子は9月2日、17~32順位決定リーグのガボベルデ戦に80ー71で勝利。
アジア最上位となり、1976年モントリオール大会以来48年振りとなる自力でのパリオリンピック出場を決めた。
一次リーグから格上相手の試合が続いて苦戦したが、順位決定リーグで連勝してパリ切符を獲得したホーバスジャパンのリポート。
2023W杯日本戦績
一次ラウンド
日本63ー81ドイツ
日本98ー88フィンランド
日本89ー109オーストラリア
17ー32位決定戦
日本86ー77ベネズエラ
日本80ー71カーボベルデ
大黒柱渡辺雄太の決意
NBAで活躍中の八村塁と共にWエースとしてチームを引っ張って行く存在の渡邊雄太。しかし、八村のまさかの代表不参加によって自身に課された責任は重くのし掛かったはず。
しかも、大会前の強化試合中に右足首の捻挫で途中交代。その後の強化試合は出場せずW杯はぶっつけ本番。最初のドイツ戦、初めて欧州勢に勝ったフィンランド戦でも活躍したが、まだまだ彼本来の実力はこんなものではないはず。
はっきり言って、今大会は渡邊以上にコートで存在感を発揮した選手が複数いる。しかし、大会前から彼が自他共に認めるエースとしてコート内外でチームを鼓舞し、引っ張ってきたのは紛れもない事実。
代表引退宣言や、ドイツ戦の会場の不入りに苦言を呈したり、プレイだけでなく言動でもW杯にかける意気込みを見せてくれた。渡邊のリーダーシップがパリ五輪のみならず、今後の日本のバスケット界に必要不可欠なのは間違いない。
個性溢れるヒーロー達
次々に現れたヒーローの中でも抜群の存在感を見せたのが河村勇輝。172センチと小柄だが卓越したスピードとテクニックで相手を翻弄。司令塔としてコート内を駆け巡ると同時に、ポイントゲッターとしても秀逸な才能を見せた。
河村と同じ22歳の若さで3点シューターとしての才能の一端を見せてくれたのが富永啓生。一旦決まりだしたら止まらない3点シュート。大柄な外国勢に対して3点シュート多用のホーバスジャパンにとっては必要不可欠な選手。
若手が活躍の中、勝負どころで頼もしさを発揮したのが最年長33歳の比江島慎。パリ五輪への正念場となったベネズエラ戦で連発した3点シュート。世界を相手に負け続けてきた男が見せた意地が逆転勝利を呼び込んだ。
パリオリンピックは❔
パリ行きの切符を手にしたとはいえ、あくまでもレベルの低いアジアの最上位という条件。まだまだ、欧米との実力差は明らかな上、残された時間は約一年。ただ、出場を決めて喜んでいるだけではパリで赤っ恥をかく事になりかねない。
「この大会でスタンダードを作ったけど五輪では足りない。レベルアップしないと。今回チームに加わらなかった選手もいる。これから競争が上がる」というトム・ホーバス監督。
今大会不参加の八村をも念頭に置いたコメントのようだ。その八村には、「やりたいなら彼から声を掛けてくればいい。是非、入って欲しいけど、やらないなら、このメンバーでいいチームを作りましょう」と一見、手厳しい発言。
女子日本代表で実績を残し、更に世界との差がある男子代表の監督に就いたホーバス。「信じて下さい、信じて、信じて」と選手に語り掛けた監督。パリでの戦いは更に厳しい道になるが、ホーバスなら……と期待をせずにはいられない。