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レスリングの全日本選抜選手権、オリンピック4連覇の伊調馨敗れる!

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レスリングの世界選手権(9月•カザフスタン)の代表選考会を兼ねた全日本選抜選手権の最終日。オリンピック5連覇を目指す伊調馨が、2016年リオデジャネイロ五輪63キロ級金メダリストの川井梨紗子に決勝で敗れて代表決定ならず、7月6日に両者によるプレーオフで代表が決定する事になった。

● オリンピックへの道

レスリングの東京オリンピック代表は、昨年12月に行われた全日本選手権と今回の全日本選抜選手権の両大会を制した選手が、世界選手権でメダルを獲得した場合に決定する。

伊調馨が出場する女子57キロ級は、昨年12月の全日本選手権を残り10秒で逆転して優勝した伊調が今大会も勝てば世界選手権が決定するが、今回の全日本選抜選手権は川井梨紗子が前半から積極的に攻め、リードを守って逃げ切ったので、両者によるプレーオフで決定する事になった。

リオデジャネイロ五輪で前人未到の4連覇を達成した伊調の東京オリンピックへの道は正に茨の道のり。前監督の栄和人氏のパワハラ問題で、練習場も確保出来なかった上に、度重なる故障で体調が万全でない中、調整も思うに任せない状態で出場した4月のアジア選手権では準決勝で敗退し、3位に終わった。

その後、今大会で優勝しての世界選手権代表を目指してきたが、アジア選手権での顔面の裂傷の他、体全体が古傷だらけで満身創痍の状態。練習のレベルを上げたいのは山々だが、体の状態と相談しながらするしかないというのが現状の35歳の伊調。

今大会も一次リーグから苦戦を強いられた。初戦の16歳下の花井戦は8ー0で勝ったが、序盤片足タックルで右足を捕らえられる場面があった。2戦目の同じ所属先の坂上には第2ピリオドで1ー3とリードされたが、残り1分で相手が膝を負傷してのフォール勝ち。

南條相手の準決勝も体勢を崩されて1ー3となった直後に、相手の体を回して3ー3に追い付いた。終盤の相手の猛攻に耐え抜いて、勝利のホイッスルはタックルに来た相手に右脚を捕らえられたまま聞いた。3ー3の同点だったが、ラストポイントを挙げた事で勝ったという辛勝。

● 7月6日のプレーオフ

埼玉県和光市総合体育館で7月6日に行われるプレーオフには、男子フリースタイル65キロ級、女子50キロ級等と共に女子57キロ級も伊調と川井が争う事になった。

リオデジャネイロ五輪63キロ級金メダリストの川井が、62キロ級に行かず敢えて伊調との決戦を選んだのは、62キロ級に昨年の世界選手権銀メダルを獲得した妹の友香子がいるから。両親共にレスリング日本一というレスリング一家の川井家の念願は『姉妹で五輪出場』

過熱するマスコミが騒ぎ立てるが、2人の金メダリストによる一騎討ちは正に『因縁決戦』。川井家がレスリング一家なら、伊調も姉の千春はアテネ、北京オリンピック銀メダリスト。兄の寿行もかってはレスリング選手で現在は伊調が所属するALSOKでコーチを務める。更に、世間を騒がせたパワハラ問題の栄氏は現在志學館大学の学外コーチとして、同大学OGの川井の指導をしている。今大会も会場で二人の試合を観戦していた。

しかし、そんな因縁話は外野の騒ぎで本人達は純粋に東京オリンピックを目指している。全日本選手権も今回の全日本選抜選手権も僅差の白熱した戦いになっている。あるメディアはプレーオフまで3週間しかない日程を理由に、11歳年上の伊調が不利と解説している。しかし、今大会は2日間で4試合戦った伊調だが、プレーオフは川井との一試合だけなのでかえって戦いやすいのではないだろうか。

「今回はアドバンテージがあったので、自分から仕掛ける積極性に欠けていた」という伊調。川井と自分を比較して、「技術は変わらない」と、相手の力を認めている。「次が本当の勝負。前半から取りにいくと流れもつかみやすいし、ワンサイドな展開になる。それが理想」と、3週間後のプレーオフを思い描く。百戦錬磨の伊調か、それとも若さと勢いの川井か。3週間後のプレーオフはレスリング史上最大の注目を浴びる試合になりそうだ。

 

 

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