日本時間7月16日夜から翌17日深夜にかけて行われたテニスの四大タイトルの全英オープン。四大タイトル23勝、全英オープン4連覇中の帝王ジョコビッチと世界ランキング1位の若き天才アルカラスの一戦。
月曜日が休日という事もあって午前3時にまで及ぶ熱戦を堪能させてもらった。新旧世界ランキング1位同士の実力ナンバーワン決定戦とも言える一戦を振り返ってみたい。
ノバク・ジョコビッチ
今さら説明する必要もないぐらい、テニスファンはもとよりテニスにそれほど関心のない人にも知られているノバク・ジョコビッチ。今年も36歳にして全豪、全仏オープンを制覇する正に帝王。
ジョコビッチが四大タイトル、いわゆるグランドスラムで最も得意とするのは全豪オープン。2008年20歳8ケ月の初制覇を皮切りに2度の3連覇を含む10回の優勝を誇る。
オールラウンダーとしてストローク戦に自信を持つジョコビッチにとって、それに次ぐのが芝の全英オープン。2020年の新型コロナウイルスによる中止はあるが、2018年から現在4連覇中。
昨年の全英オープンでのポイント不付与によりランキングが後退した影響で現在のランキングは2位。1位のアルカラスとの一戦は絶対王者にとっては絶対に落とせない戦い。
カルロス・アルカラス
一方、ジョコビッチを抑えて世界ランキング1位のカルロス・アルカラスについてはよく知られていないと思う。2003年5月5日スペイン生まれの、まだ20歳になったばかり。
本当に頭角を表したのは2022年。前半だけでツアー3勝を挙げると勢いに乗って全米オープンを史上2人目の10代で初制覇。同年9月12日の世界ランキングで史上初めての10代での1位獲得。
身長183センチは海外の選手としては図抜けた大きさではない。強烈なサービスもあるが、アルカラスの最大の武器は強力なフォアハンドと抜群のフットワーク。そして、打球が速い上にあらゆる場面で発するドロップショットは天才的。
スペインといえば、ラファエル・ナダル。同郷の英雄を目標に歩んできたが、速い展開のアグレッシブなプレースタイルはナダルのライバルのロジャー・フェデラー似。これから、各国の英雄達を上回る道を歩むのか、目が離せない存在になりそう。
真の王者を懸けた戦い
世界ランキング1位と2位の争いとはいえ、昨年のポイント不付与により下がったものの、今年全豪、全仏オープンと連勝したジョコビッチが有利と思っていた。現に、第1セットは6-1と簡単に取ったジョコビッチ。
所詮、アルカラスではジョコビッチの敵ではないと思った第2セット。両者ブレークバックを果たした後、キープを続けてタイブレークに突入。今シーズンタイブレーク15連勝中のジョコビッチのペースと思われたが、ミニブレークの奪い合いの末にアルカラスが奪取。
これで流れが変わったのか、勢いに乗ったアルカラスが第3セットを第1ゲームでブレーク。そして、13度に及ぶデュースの末にまたアルカラスがブレークに成功した第5ゲーム。完全に流れをものにしたアルカラスが6-1で取り、逆転。
しかし、流石はジョコビッチ。競った展開になった第4セット。第5ゲームをデュースの末にブレークを許したアルカラス。第9ゲームでダブルフォルトを犯して6-3でジョコビッチに奪われファイナルセットへ。
最終セットも白熱した戦い。先にブレークポイントのチャンスを得ながら相手の完璧な守備に阻まれたジョコビッチ。その直後の第3セットで逆にブレークを許し、ラケットを破壊して警告を受ける。冷静さを欠いて流れを完全に失ってしまった。
4時間42分の死闘の末、勝利を得たアルカラス。ビッグ4のフェデラー、ナダル、ジョコビッチ、アンディ・マリーが独占していたウィンブルドンのタイトルを21年ぶりに奪ったアルカラス。このまま時代を築くのか、ジョコビッチらの巻き返しはあるのか戦いはこれからだ。
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