明日いよいよ稀勢の里が綱の威信を賭けた初場所に挑む。
人気随一の日本人横綱だけに復活を願うファンは多いが、その反面最近の成績からもう横綱の地位を汚すだけだから引退するべきという厳しい声も聞こえてくる。
思えば朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜と続いたモンゴル出身横綱の天下に独りで挑み跳ね返された末に念願の優勝、横綱の栄誉を掴んだ瞬間、怪我でどん底に突き落とされるとは勝負の神様もあまりにもむごい試練を与える、と思うのは私だけだろうか。
いわゆる持っていない男の典型かもしれないが、だからこそ一途で武骨で悲愴な男の生き様に判官びいきの日本人を惹きつけて止まない魅力があるのかもしれません。
32歳という年齢は最近の力士では高齢とはいえません。
一昔前なら30歳過ぎたらそろそろ引退が頭をよぎるという力士がほとんどでしたが、今は幕内でも30代はごろごろいて40歳近い力士も珍しくありません。
稀勢の里自身も相撲が好きで好きでたまらないのは観ていて分かります。
横綱という地位でなかったら好きなだけ続ける事が出来るだけだろうに……、と思ってしまいますが強いからこそファンを惹きつけるのもまた事実でしょう。
場所前は先場所の怪我で巡業にも参加出来ませんでしたが、年末から年始の稽古では同部屋の大関高安を圧倒していました。
四つ身に拘らないで原点に帰って突き押しに活路を見出そうとしているように見えます。
元々メンタル面に不安があっただけに、この追い詰められた状況ではあれこれ考えて守りに入るより、攻撃こそ最大の防御なりという考えは的を射ているようにも思います。
初日御嶽海、二日目逸ノ城と難敵が続きますが、たとえ1敗くらいしても攻め続けてこの難敵相手に一つでも思い通りの相撲を取れれば復活につながる気がします。
ファンの為だけでなく、自分の相撲人生を賭けた大一番に悔いの残らない相撲で挑んで欲しいと思います。