新型コロナウイルスの変異株オミクロンの感染拡大で複数の部屋で力士が影響を受け、休場を余儀なくされた大相撲初場所。先場所初めての全勝優勝を果たした横綱照ノ富士が、更に連続優勝と連勝を伸ばして一強を続けるのか注目されたが、6日目に土がついて優勝争いの先頭に立ったのは御嶽海。中日までの回顧と今後の展望を占ってみる。
照ノ富士の連覇は❔
場所前の予想では横綱照ノ富士の3場所連続7回目の優勝は揺るがないと思っていたが、今場所は初日から苦戦を強いられて6日目の玉鷲戦で土。もともと、大栄翔や玉鷲などの突き押し相撲には苦戦を強いられていたが、崩れそうで崩れないのが照ノ富士の真骨頂。
白鵬のように立ち合いから張り手を多用したり、策を弄する事なく相手を受け止める正攻法の照ノ富士の横綱相撲。しかし、大型化の現在の大相撲では受けだけでは勝ち続けるのは難しい。攻める方は一か八かで一気に優位にたてるが、受ける方は一つ間違うと即敗戦に繋がりかねない。
中日8日目を終えて、全勝の御嶽海を一差で追う展開。更に2敗で平幕6人が続くが、優勝は照ノ富士と御嶽海に絞られたと視ている。一差はあっても五分五分と思っているが、今場所の御嶽海は充実一途で一味違う。序盤から受けに回って長い相撲を続けた負担が、両膝に掛かっていなければと危惧する。
御嶽海の大関は❔
もともと、強い時は大関相撲で相手を寄せ付けない程の実力を見せ付けるが、その反面下位の力士にあっさり負けるモロさもあり、精神力が課題と言われていた御嶽海。今場所はよく相手を見て立ち合いから一気に圧力をかける一方的な勝利が多い。唯一長引いたのは3日目の若隆景戦だが、それも危ない場面はほぼなかった。
弱いと言われたメンタル面が強化されて、土俵上での集中力が際立っているのが好調の原因か。大関貴景勝や実力者高安の休場もあって、残り7日間の強敵といえるのは横綱照ノ富士、大関正代、関脇隆の勝ぐらい。ただ、終盤になると下位の星の上がっている力士との対戦が組まれるが、その辺が鍵になりそう。
これまで、2度の幕内優勝を経験している御嶽海。このまま、千秋楽までメンタル面の弱さが出なければ、優勝は照ノ富士との一騎討ちになる。このところ、照ノ富士には全く歯が立たないが、今場所は五分五分と視ている。例え、優勝出来なくても13勝以上は確実で、大関昇進は間違いないと予想する。
注目力士の活躍は❔
東前頭6枚目で5勝3敗と健闘の元横綱朝青龍の甥にあたる豊昇龍。軽量ながら一気に押される事はなく、スピードと多彩な技で善戦。8日目には先場所から快進撃を続ける阿炎の両手突きに怯まず、掻い潜って一気に寄り切った。軽量をつかれる場面でも一方的に押し出される事なく、柔軟な足腰で反撃出来る稀有な存在。
昨年の秋場所で痛めた膝の故障から復活を期す、元横綱琴櫻の孫琴ノ若。先場所はまだ膝の不安から力強さに欠けたが、今場所は恵まれた体を活かした前に出る相撲で6勝2敗。組んでよし、押してよしだが、今場所は積極的に圧力をかけて突き押しで勝負する相撲が目立つ。期待の大器だけに小さくまとまらずに、力強さで圧倒して欲しい。
幕内最年少21歳、昭和の大横綱大鵬の孫王鵬。豊昇龍と同期で序ノ口では勝って優勝したが、いつの間にか番付で差を付けられていたが今場所新入幕。琴ノ若同様に組んでも離れても取れるが、恵まれた体格を活かした突き押しに取り組んでいるようだ。今は小細工を弄せず、徹底的に圧力を磨いているような積極的な姿勢が頼もしい。
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