いよいよ、中国では初めての冬季オリンピックが始まる。2022年北京オリンピックは2月4日から20日まで北京市と隣の張家口市を会場として、アジアでは4回目の開催になる。人権問題をはじめとして今や世界の異端児化してしまった中国のオリンピック開催には異論もあるが、選手だけでなくスポーツファンとしては東京オリンピックに次ぐ待望のイベントとして歓迎したい。ここでは、競技別に注目の日本選手にスポットを当ててみる。
スキージャンプ
4人が出場出来る男子で最注目は小林陵侑。2018年平昌五輪までは兄潤志郎の陰に隠れて無名同然だったが、個人ノーマルヒルで7位入賞。翌18ー19年W杯でいきなり13勝と大ブレイク。その後のシーズンでも3勝ずつ挙げ、今年は開幕から好調で既にW杯7勝。3年前の勢いで勝ち進んだ時と違い、どんな条件でも発揮出来る技術で金メダルの本命となった。
女子ジャンプの代名詞とも言える高梨沙羅。W杯参戦2年目の2010ー11シーズンから今年まで連続11シーズン優勝、男女を通じて歴代最多の61勝。しかし、オリンピックでは4位、3位。世界選手権でも2位が最高とここぞという時に弱いイメージがある。今シーズンは1勝したものの「空中も着地も完全でない」と危機感を露に、最後の調整で逆転を期す。
何の競技でもそうだが、最近は団体や男女混合種目も増えて多彩な楽しみ方が可能になっている。男子団体も期待出来るが、男女2名ずつで争われる【混合団体】に期待が持てる。男女それぞれに小林、高梨という絶対的エースがいるだけに、メダルへの期待は高まる。両エースの他の一人ずつに過去の実績・経験か、あるいは今シーズンの成績で選ぶかが鍵を握りそう。
スピードスケート
過去のオリンピックでメダル獲得の源泉となってきたスピードスケート。4大会連続出場で2018年平昌五輪500メートルに続いて連覇を狙う小平奈緒。16ー19年の37連勝を誇った頃の無敵という状況ではない。昨シーズンは股関節の痛みで苦しみながらオリンピック代表を決めた。「私の生きざまを示せたらいい」という小平には最高の結果と笑顔が似合う。
小平がスプリントの女王なら、オールラウンダーとして名を成さしめたのが高木美帆。15歳でバンクーバー五輪代表になり天才少女と呼ばれたが、個人での金メダルは未だに無し。しかし、平昌五輪以降才能が開花し世界スプリント、オールラウンダー両選手権で頂点に立った。日本選手団の主将を務める今大会、得意の1500メートル等5種目でのメダルを目指す。
スノーボード
何といっても、2大会連続銀メダルの平野歩夢が登場するハーフパイプが見所。平昌五輪の後、東京オリンピックのスケートボードに挑戦。しかし、東京五輪が一年延期したせいで今大会への調整が懸念されたが、流石は平野。史上初となる斜め軸に縦3回転、横4回転という【トリプルコーク1440】を成功。一回り大きくなった平野が今度こそ金獲得なるか。
その平野を追うのが20歳の戸塚優斗。2歳からスノーボードを始めた天才は16歳でW杯初参戦、いきなり初戦で優勝。しかし平昌五輪では転倒してリタイア。平野が東京五輪を目指した間に急成長し、昨シーズンは世界選手権、Xゲーム等の主要タイトル独占。平昌で平野とショーン・ホワイトの熱闘に加われなかった無念を、表彰台の真ん中に立って晴らすつもりだ。
その他の注目競技
フィギュアスケート男子はオリンピック3連覇を目指す羽生結弦と、前回銀メダルの宇野昌磨、世界選手権3連覇のネイサン・チェンの三つ巴の争い。オリンピックで初めての4回転アクセルを目指す羽生。この大技が決まれば3連覇の可能性大。しかし、失敗した場合は総合力に勝るチェン、4回転5本という高難度で挑む宇野にもチャンスが出てくる。
ここに来て急上昇の注目株がフリースタイルスキー・モーグルの川村あんり。4歳でモーグルを始めて小中一貫校の湯沢学園で本格的に取り組み、9年生の2019年12月、W杯デビュー戦でいきなり2位。昨シーズンはW杯総合2位と成長した天才少女は、今シーズンさらに一皮剥けてW杯初優勝から一気に3勝。レジェンド上村愛子を凌いで金メダル候補に成長。