どうなってしまうんだろう……と、関係者でもないのに心配になってしまう。夏の甲子園が大雨による連日の順延と、相次ぐコロナウイルス感染による辞退でピンチに陥っている。本来の日程は順調に進めば8月9日(月)開幕、8月24日(火)決勝戦という予定になっていた。
しかし、史上最多7度目の順延で決勝戦は早くても29日になる予定。しかも、甲子園の天候不順は更に続くという予報も出ていて、29日までに終わる保証はない。31日には甲子園を本拠地とする阪神タイガースの公式戦が組まれていて、遅くとも29日には決勝戦を終わらせる必要がある。また、コロナウイルス感染による辞退という難題でダブルピンチの夏の甲子園の舞台裏を探ってみる。
史上最多7度目の順延
しかし、如何に異常天候とはいえ、こんな事があるのだろうか。今年の第103回全国高校野球大会は初日から躓いた。8月9日開幕の予定が台風接近で順延。翌10日から始まったが順調に消化出来たのは2日目、3日目だけ。4日目の13日第一試合、帯広農-明桜戦は4回で雨のためノーゲーム。そこから、その日の他の3試合と12日、13日と三日連続の順延。
再開したのは大会6日目にあたる8月15日。ノーゲームになった帯広農-明桜戦から始まり、翌7日目まで予定通りに進む。しかし、大会8日目の17日第一試合、東海大菅生-大阪桐蔭の優勝候補同士の試合は8回、3点を追う場面で試合中断。一死1、2塁のチャンスで再開を待ったが非情のコールドゲーム。東海大菅生にとっては無念の敗退となった。
しかし、雨による混乱はまだまだ続く。その日の残り3試合はもちろん順延になったが、翌18日も朝からの雨で全試合順延。大会10日目となった8月19日。第一試合近江-日大東北は4回裏で雨のため順延。更に、第二試合も順延になったが第三、第四試合は午後3時から試合開始という異例の決定。雨が上がって前橋育英-京都国際、作新学院-高松商の試合は無事に行われた。
この連日の順延により、決勝戦は8月28日の発表になったり29日になったり、大会本部も迷走を繰り返している。今後も天候不順は続く可能性があり、8月31日に予定されているプロ野球阪神-中日戦当日まで決勝戦がずれ込む可能性もある。その場合、昼に高校野球決勝戦を行って、夜には阪神-中日戦という、史上初の『プロアマ同日開催』という仰天案まで検討されている。
コロナ感染で2校辞退
やはり心配していた事が起きてしまった。宮崎商業で13人がコロナウイルス感染、、8人の濃厚接触者が出て8月17日、宮崎商業の門田校長が「生徒の健康、安全面を考えると出場は不可能だろうと考えて決定しました」と、出場辞退の記者外見で話した。これ程の感染者数なら辞退已む無しというところではないだろうか。
更に、8月13日選手一人が陽性、選手2人他計4人が濃厚接触者と判明したのが東北学院。その4人は2回のPCR検査で陰性が確認されている。「出場すれば感染者の特定に繋がり、生徒の将来に影響を及ぼす可能性があるので出場辞退という判断をしました」と、東北学院の阿部校長。
これに対して、例によってあれこれ賛否両論が出ている。私的には、宮崎商業の場合は感染者数の多さからいって致し方なしと思う。ただ、東北学院の場合は納得出来ない。感染者が特定されて将来に……というが、これ程全国的に拡大している現在、コロナウイルス感染が将来に影響するとも思えない。
反って辞退した事により、感染者である生徒が「自分のせいで出場辞退になり、チームメイトに申し訳ない」と負い目を感じる事の方が将来に影響を及ぼす。いずれにしても、『感染対策ガイドライン』で感染者が出た場合の対応を明確にせず、学校側に出場の可否を委ねた高野連の無責任な対応が一番の問題点だと思う。