
第107回全国高校野球大会が盛況のうちに幕を閉じた
低反発バットの影響か、今大会はロースコアで接戦の試合が多かった
暑熱対策が効いたのか、心配した程の離脱者もなく熱戦に水を差す場面も少なかった気がする
沖縄尚学が制した今大会を色々な角度からリポートしてみたい
あっぱれ沖縄尚学!
ある程度上位へ進出はするだろうと思っていたが、まさか優勝とは考えられなかった沖縄尚学。その勝因は2年生の左右のエース末吉と新垣有の好投に尽きる。1回戦からの登場なので全6試合、全てどちらが勝ってもおかしくない接戦を勝ち上がった。
低反発バットになったとはいえ、優勝するチームは必ずと言ってもいい程、どこかで圧勝して波に乗るケースが多い。しかし、沖縄尚学は2回戦の鳴門に3ー0で完封した試合以外は全て2点差以内。
接戦の多かった今大会を象徴するように、タイブレークでドラマが待つ試合が何試合も見られた。が、沖縄尚学は3回戦の仙台育英戦で11回まで戦ったが、10回以降の2イングスを無失点に抑えて勝利。監督の掲げた『守り切る野球』を体現した。
6試合で9失点は夏の暑さの中では際立つ成績。それは投手陣だけでなくバックの貢献も大きい。準々決勝、決勝は複数のエラーが出たが、他の4試合はノーエラー。投手力を中心とした守りの野球で、春の選抜、そして来夏の連覇を目指す。
まさかの敗退横浜!
春の選抜を圧倒的強さで制した横浜。昨秋から公式戦は1敗だけで、今大会も大本命と見做されていた。予想通り1回戦から5ー0、5ー1、5ー0と危なげなく勝ち進む。ただ、気になったのは全て2年生の織田中心のローテーション。
3回戦までの3試合23回以上2/3を無失点と大車輪の活躍。しかし、気になったのはエースナンバーの奥村頼。2回戦の最後に打者一人に6球投げただけ。案の定、下半身に故障を抱えて投げられなかったと判明。
しかし、準々決勝の県岐阜商戦で織田はこれまでの切れが見られず4回半ば2失点で降板。代わりの投手も同じく2失点で5回まで4点のビハインド。5回途中からマウンドに上がった奥村頼。そこから9回まで全てゼロに抑え、打撃陣の奮起で同点に。
しかし、実戦不足によるスタミナ切れのせいかタイブレークで失点を重ねて敗退。マウンドにうずくまって泣き崩れた奥村頼。勝負事にタラレバは禁句だが、故障さえなければ奥村頼と織田の2人で春夏連覇の可能性があったと思わずにはいられない。
2年生の好投手続出
夏の甲子園は3年生にとって最後の大会。中には1、2年生の活躍が目立つチームもあるが、やはり3年生が主力のところが圧倒的に多い。しかし、今大会の投手では2年生に多くの逸材が見られた。
先に挙げた沖縄尚学の左右のエース末吉と新垣有。お互いにライバルと認める存在で、同じチームに左右の好投手がいるのは野手陣にとっては何よりも心強いはず。沖縄も新しい学校が力を付けて、勝ち抜くのも簡単ではないが来夏の連覇を期待する。
その他では前述した横浜の織田。150キロ超の速球が持ち味で、来年にかけて更に球速アップがなるか注目。あとは、194センチの長身から投げ下ろす山梨学院の152キロ右腕の菰田。こちらは打撃面でも期待される二刀流で楽しみ。
どうなる高校野球?
近年、高校野球も様変わりが激しい。夏の暑熱対策としてのクーリングタイムや、朝夕2部制。更には春夏に関係なく、行われるタイブレーク。また、来春からの指名打者制。更には7イニング制も検討中。
クーリングタイムは、8分間の休憩で主に6回表に投げる後攻チームの投手のモチベーション維持が難しい。この回で試合展開が変わる場合があるので反対。2部制は暑い時間帯を避けられる上に、昼に働いている人達も楽しめるので賛成。
指名打者制は、選手層の厚い私立高校がますます有利になるので反対。また、7イニング制に至っては、もう硬式野球ではない。次々と変えて改革をアピールしているのだろうが、それなら甲子園球場に拘らず、他球場も利用すべきと言いたい。