
熱戦が多く盛り上がっていた全国高校野球大会
水を差したのは選抜大会で3回優勝の名門広陵
部内の暴力行為がありながら、有耶無耶にして、辞退に繋がった広陵のリポート
過去の甲子園出場辞退
過去、甲子園出場辞退は選抜大会で12校(13回)。夏の大会では6校。理由は多岐に渡っているが、最も多いのは暴行、暴力事件。しかし、過去の辞退は大会前になされている。今回は史上初の不祥事による大会中の出場辞退。
夏の大会に限れば1922年新潟商業(4番投手が発熱)。1939年帝京商業(出場選手の資格問題)。同年日大三中(上記の帝京商業の代わりに選ばれたが、やはり資格問題)。
今世紀に入っては、2005年明徳義塾(野球部員の暴力事件と喫煙)。2021年宮崎商業(新型コロナウイルス集団感染)。同年東北学院(選手1人の新型コロナウイルス陽性が判明)。
しかし、春の選抜大会も、夏の大会も全て試合前に辞退している。今回の広陵のように大会に参加し、試合に勝利しながらの辞退は史上初となる。
広陵高校の辞退の経緯
学校側の説明によれば、1月22日寮内で禁止されていたカップラーメンを食べた当時1年生の部員がいた。それを2年生の部員4人が個別にその部員の部屋で頬や、胸を叩く暴行を働いたという。
これに対して、高野連は暴行を加えた上級生4人を1ケ月公式戦に出場しないように指導し、【厳重注意】とした。厳重注意処分は原則として公表しないように定められているので、高野連や学校からの発表はしなかったという。
しかし、その暴行を受けた部員は既に転校している。4人もの上級生から別々にとはいえ暴行を受けた事実は、本人にとって心身にどれ程の傷として残ったのか考えたのだろうか。個別にだったとしても、実際には集団暴行と変わらない。
刑事事件と言われても仕方ない案件であろう。これに対して、高野連もたった1ケ月の加害選手だけの公式戦出場停止処分でいいのだろうか。更に、この言い分に対して事実とは違うと保護者が訴え5月まで協議を続けたという。
その上、更に別件として性被害や命に関わる嫌がらせのような事案が発生していた。元硬式野球部という生徒は実名で、性器を触られたという。更に風呂で水の中に沈められたり、熱湯をかけられたりしたと公表。
この内、後の件に対しては加害者の実名を挙げ、殆どがレギュラーメンバー。そして、警察に被害届も出している。更には、中井監督をはじめ先生達の生徒に対する暴力についても触れている。これらは第三者委員会にも調べてもらっているという。
もちろん、これらが全て事実かは不明だが、これ程詳細に、実名まで挙げているからには全く事実無根とは思えない。そして、今回広陵は出場辞退を決めた。しかし、その校長の辞退理由が火に油を注ぐ結果になってSNSで炎上している。
SNSでの誹謗中傷や爆破予告を挙げ、生徒の命を守る為に出場辞退と釈明。だが、それは言い訳に過ぎない。被害生徒のケアより甲子園出場の為に加害者を守る姿勢。高野連も広陵も、最も大切なのは野球より人間という考えが皆無という事に尽きる。