9月21日巨人、24日西武と相次いでセ•リーグとパ•リーグの優勝が決まった。今年は両リーグともまれに見る混戦模様だったので紙一重の優勝。何度かあった勝負どころで一つ間違えばどっちに転んでもおかしくない状況だった。
もちろん、優勝は監督、コーチ、選手一丸となって勝ち取ったもので、パーツが一つ欠けていても成し遂げられない偉業だが、それでもどのチームにも立役者はいるもの。
今回は私が独断で選んだMVP、巨人坂本勇人と西武中村剛也の優勝へと導いた今季の歩みをリポートしてみる。
● 主将として引っ張った坂本勇人
今年の巨人は開幕戦でいきなり4連覇を狙う苦手広島と対戦。昨年のMVP丸佳浩の移籍で因縁の一戦と注目を浴びた戦い。開幕戦こそ広島のエース大瀬良大地の気迫のピッチングの前に敗れたが、第2戦、第3戦と勝って勢いに乗ると常に首位争いを演じてセ•リーグの優勝戦線を引っ張ってきた。
今シーズンの巨人の長所は連敗の少なさ。例年になく両リーグ共に連敗に苦しむチームが目立った中で、8月から9月にかけて2度の6連敗こそあったものの、前半戦は坂本勇人を中心とした打線でチームを引っ張ってきた。前半戦に大きな連敗をしなかった事が常にペナントレース上位で安定した成績を残せた要因。
主将になって4年間優勝のない坂本。それがプレッシャーになったかは分からないが、常に勝つ事を求められる巨人の主将としては今シーズンは期するものがあったに違いない。シーズン序盤から打撃好調で一時は三冠王も視野に入れる快進撃。
これまでの坂本は長打というよりは好打者のイメージ。右打者では不利と言われている首位打者のタイトルを獲得した事もある。内角打ちは絶品と言われていたが、今シーズンはそれに加えて全方向に打てる長打を身につけた。
夏場調子を狂わせて打率を下げたが、9月25日現在打率.310、打点93、本塁打39で全てベスト5以内。どうやらタイトルはどれも獲得出来ないようだが、プロ入り後のキャリアハイは間違いない。
投手では山口俊が最多勝利等のタイトル獲得なりそうだが、たとえ無冠に終わってもキャプテンとして一年間バットでチームを引っ張った貢献度は抜群で、MVPは坂本で決まりだろう。
● 全盛期を凌ぐ活躍の中村剛也
ソフトバンクとの死闘を繰り広げて見事に逆転優勝を果たした西武の売りは言わずと知れた『山賊打線』 山川穂高の43本を筆頭に中村剛也30、外崎修汰26、森友哉23、秋山翔吾20と、20本塁打以上が5人。
打点も中村の123点をトップに山川120、森105、外崎90と、4人の90打点以上はパ•リーグではダイエー時代のホークス以来の快挙。打撃タイトルも森、中村、山川の3人で独占する勢いだ。正に『山賊打線』の面目躍如といったところか。
この中でも中村の後半戦の活躍ぶりは特筆物でMVPの本命は譲れない。今シーズンの中村は当初は下位を打つ事が多く、4番は『山賊打線』の新頭目と目される山川に譲っていた。
しかし、その山川が後半戦に入って極度の不振に陥り、8月11日に中村が4番に座ってから本人の全盛期を思わせる勝負強い打撃に引っ張られるようにチームも成績を上げていく。
自分の持つ満塁ホームランの記録を塗り替える等、好機に勝負強さを発揮してチームを鼓舞し、下位に打順を下げた山川も発奮して相乗効果となって、最大差8.5ゲームあったソフトバンクを追い上げて土壇場で捉えた。
タイトル獲得者は目白押しだが、ソフトバンク追撃の勝負強さを発揮して一番大事なところで大活躍して、4番としてチームを引っ張った中村にこそ、是非ともMVPを上げたい。
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