プロ野球はセ・パ交流戦も終わって、全球団が６０試合以上の試合数を超え、優勝争いやＡクラス入りに向けて目標や戦略を練り直す時期に差し掛かってきた。セ・リーグは前年優勝のヤクルトが２位巨人に９ゲーム差の独走態勢。更に、４．５ゲーム差に開幕からの連敗で出遅れた阪神が追い上げ、後の３球団も１ゲーム差以内という混戦になってきた。
一方のパ・リーグは地力に勝るソフトバンクがいよいよエンジン全開になりつつあるようだ。交流戦終了後の６月１７日からのリーグ戦再開で、いきなり首位楽天に３連勝でトップに踊り出た。３位ロッテ、以下は西武、オリックスまで２ゲーム差。更には若手の打撃陣に目処がたってきたが日本ハムが最下位。今回は早くも４人達成したノーヒットノーランについてレポートしてみる。
過去のノーヒットノーラン
１ 沢村栄治（巨人）１９３６年９月２５日
２ 沢村栄治（巨人）１９３７年５月１日②
３ スタルヒン（巨人）１９３７年７月３日
４ 石田光彦（阪急）１９３７年７月１６日
５ 中尾輝三（巨人）１９３９年１１月３日
６ 亀田忠（イーグルス）１９４０年３月１８日
７ 浅野勝三郎（阪急）１９４０年４月１４日
８ 沢村栄治（巨人）１９４０年７月６日③
９ 三輪八郎（タイガース）１９４０年８月３日
１０ 石田光彦（阪急）１９４０年８月２２日②
１１ 亀田忠（黒鷲）１９４１年４月１４日②
１２ 中尾輝三（巨人）１９４１年７月１６日②
１３ 森弘太郎（阪急）１９４１年１０月２７日
１４ 西沢道夫（名古屋）１９４２年７月１８日
１５ 天保義夫（阪急）１９４３年５月２日
１６ 藤本英雄（巨人）１９４３年５月２２日
１７ 別所昭（南海）１９４３年５月２６日
１８ 石丸進一（名古屋）１９４３年１０月１２日
１９ 呉昌征（阪神）１９４６年６月１６日
２０ 梶岡忠義（阪神）１９４８年８月２４日
２１ 真田重蔵（大陽）１９４８年９月６日
２２ 藤本英雄（巨人）１９５０年６月２８日② 完全試合
２３ 金田正一（国鉄）１９５１年９月５日
２４ 林義一（大映）１９５２年４月２７日
２５ 真田重男（阪神）１９５２年５月７日②
２６ 大友工（巨人）１９５２年７月２６日
２７ 山下登（近鉄）１９５４年８月７日
２８ 杉下茂（中日）１９５５年５月１０日
２９ 大津守（西鉄）１９５５年６月４日
３０ 武智文雄（近鉄）１９５５年６月１９日 完全試合
３１ 大脇照夫（国鉄）１９５６年５月３日
３２ 宮地惟友（国鉄）１９５６年９月１９日 完全試合
３３ 金田正一（国鉄）１９５７年８月２１日② 完全試合
３４ 大矢根博臣（中日）１９５７年１０月１２日
３５ 西村貞朗（西鉄）１９５８年７月１９日 完全試合
３６ 島田源太郎（大洋）１９６０年８月１１日 完全試合
３７ 森滝義巳（国鉄）１９６１年６月２０日 完全試合
３８ 井上善夫（西鉄）１９６４年５月１６日
３９ 中山義郎（中日）１９６４年８月１８日
４０ バッキー（阪神）１９６５年６月２８日
４１ 外木場義郎（広島）１９６５年１０月２日
４２ 佐々木吉郎（大洋）１９６６年５月１日 完全試合
４３ 田中勉（西鉄）１９６６年５月１２日 完全試合
４４ 清俊彦（西鉄）１９６６年６月１２日
４５ 若生忠男（西鉄）１９６７年９月１７日
４６ 堀内恒夫（巨人）１９６７年１０月１０日
４７ 城之内邦雄（巨人）１９６８年５月１６日
４８ 鈴木啓示（近鉄）１９６８年８月８日
４９ 外木場義郎（広島）１９６８年９月１４日② 完全試合
５０ 成田文男（ロッテ）１９６９年８月１６日
５１ 渡辺秀武（巨人）１９７０年５月１８日
５２ 鬼頭洋（大洋）１９７０年６月９日
５３ 佐々木宏一郎（近鉄）１９７０年１０月６日 完全試合
５４ 藤本和宏（広島）１９７１年８月１９日
５５ 高橋善正（東映）１９７１年８月２１日 完全試合
５６ 鈴木啓示（近鉄）１９７１年９月９日②
５７ 外木場義郎（広島）１９７２年４月２９日③
５８ 高橋直樹（日拓）１９７３年６月１６日
５９ 江夏豊（阪神）１９７３年８月３０日
６０ 八木沢荘六（ロッテ）１９７３年１０月１０日 完全試合
６１ 神部年男（近鉄）１９７５年４月２０日
６２ 加藤初（巨人）１９７６年４月１８日
６３ 戸田善紀（阪急）１９７６年５月１１日
６４ 今井雄太郎（阪急）１９７８年８月３１日 完全試合
６５ 郭泰源（西武）１９８５年６月４日
６６ 田中幸雄（日本ハム）１９８５年６月９日
６７ 近藤真一（中日）１９８７年８月９日
６８ 柴田保光（日本ハム）１９９０年４月２５日
６９ 湯舟敏郎（阪神）１９９２年６月１４日
７０ 槇原寛己（巨人）１９９４年５月１８日 完全試合
７１ 西崎幸広（日本ハム）１９９５年７月５日
７２ 佐藤義則（オリックス）１９９５年８月２６日
７３ ブロス（ヤクルト）１９９５年９月９日
７４ 渡辺久信（西武）１９９６年６月１１日
７５野口茂樹（中日）１９９６年８月１１日
７６ 石井一久（ヤクルト）１９９７年９月２日
７７ 川尻哲郎（阪神）１９９８年５月２６日
７８ 佐々岡真司（広島）１９９９年５月８日
７９ バンチ（中日）２０００年４月７日
８０ エルビラ（近鉄）２０００年６月２日
８１ 川上憲伸（中日）２００２年８月１日
８２ 井川慶（阪神）２００４年１０月４日
８３ ガトームソン（ヤクルト）２００６年５月２５日
８４ 山本昌（中日）２００６年９月１６日
８５ 前田健太（広島）２０１２年４月６日
８６ 杉内俊哉（巨人）２０１２年５月３０日
８７ 西勇輝（オリックス）２０１２年１０月８日
８８ 山井大介（中日）２０１３年６月２８日
８９ 岸孝之（西武）２０１４年５月２日
９０ 山口俊（巨人）２０１８年７月２７日
９１ 千賀滉大（ソフトバンク）２０１９年９月６日
９２ 大野雄大（中日）２０１９年９月１４日
９３ 小川泰弘（ヤクルト）２０２０年８月１５日
９４ 佐々木朗希（ロッテ）２０２２年４月１０日 完全試合
９５ 東浜巨（ソフトバンク）２０２２年５月１１日
９６ 今永昇太（ＤｅＮＡ）２０２２年６月７日
９７ 山本由伸（オリックス）２０２２年６月１８日
今年のノーヒットノーラン
上記のように山本由伸（オリックス）が史上８６人９７回目のノーヒットノーランを達成した。開幕から３ケ月弱で既に４人目の達成は史上最速。まだ、今シーズンは半分以上残っている事を考えたら異常な速さでの達成といえる。もちろん、完全試合やノーヒットノーランが簡単に出来るはずもないので、今シーズン必ずしも新たな達成者が現れるとは限らないが、これまでの４人に刺激されて新たな達成者が出る可能性もある。
これまでのノーヒットノーランの年間最多記録は１９４０年の５回。この時は３月１８日亀田忠、４月１４日浅野勝三郎、７月６日沢村栄治、８月３日三輪八郎、８月２２日石田光彦の５投手が達成しているが、６月の時点で２回だけだったので今シーズン更新の可能性もある。そもそも、佐々木朗希の２試合連続や、大野雄大の９回時点での完全試合などを考えると、既に更新していたのに……と惜しむファンもいるだろう。
既に達成している４投手以上の実績の持ち主も多いので、新たな達成者を期待したい。そして、さらにはこの４人の達成者の中から、今年中に再び偉業を成し遂げる可能性もなきにしもあらずだ。これまでの長い歴史の中で複数回の達成者もいるが、沢村栄治の２年連続はあるが、さすがに同一年の達成者はいない。佐々木朗希、東浜巨、今永昇太、山本由伸の今後の投球に更に注目してみたい。
何故増えたのかノーノー❔
しかし、何故こんなに投手の記録的活躍が続くのだろうか。近年は『打高投低』と言われて投手受難の傾向が続いていただけに意外な感じが否めない。それは、ノーヒットノーラン達成の４人だけでなく、セ・リーグ防御率１点台２人。パ・リーグ同じく５人という成績にも現れている。今シーズン突如『投高打低』に切り替わったかのような変化の原因は何なのだろうか。
当然、今シーズンは打者受難と言ってもいいだろう。ホームラン量産の打者は両リーグに見られるが、３割打者は両リーグ共に３人だけ。今年からボールの縫い目が高くなったとか、コロナウイルスの影響でキャンプ中に打者が十分な打ち込みが出来なかったという指摘もある。しかし、これから暑い夏場に掛けて投手の疲労が心配される時期。打者の反撃がみられるのか、それとも投手が記録を塗り替えるのか、優勝争いと共に『投打の戦い』にも注目したい。
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